日本政府観光局(JNTO)はこのほど、1月の訪日外客数が前年比8327・9%増の149万7300人(推計値)となったことを発表した。新型コロナウイルス流行前の2019年同月比では55・7%だったが、昨年12月からは約12万人増。クリスマス休暇などにより訪日旅行需要が高まる12月に比べ、例年1月は欧米市場を中心に閑散期に当たるが、東アジア(韓国・中国・台湾・香港)からの訪日客が100万人を超え、総数では150万人に迫る実績となった。
国・地域別では、韓国が56万5200人で最多。次いで、台湾25万9300人、香港15万1900人、米国8万8100人、タイ6万3400人、オーストラリア5万2600人、ベトナム5万1500人の順で多くなっている。
東アジア諸国のうち、韓国は、日本側の水際規制緩和、日本各地への地方路線復便、韓国の旅行業界における訪日商品のキャンペーン、旧正月などの影響もあり、19年同月比で72・5%まで回復。日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある。中国は、日本行きの海外旅行制限措置や帰国時の入国制限の継続、日本側の水際規制などがあり、訪日外客数は3万1200人で19年同月比4・1%と低調だった。台湾は、日本と台湾双方の水際措置緩和、旧正月の影響などもあり、訪日外客数は19年同月比66・9%まで回復。香港は、帰国時の入国制限の継続などがあるものの、日本の水際規制緩和、香港側の入境後の医学観察廃止などもあり、訪日外客数は19年同月比98・4%とほぼ同水準まで戻っている。
その他の国のうち、米国は19年同月比85・4%、オーストラリアは同64・9%、タイは同68・4%、ベトナムは同145・6%。日本路線の航空座席供給量は回復途上にあるが、欧州地域ではウクライナ情勢に伴う飛行ルートの変更によるフライト時間増加が訪日旅行の懸念材料となっている。
JNTOは、航空便については、「増便・復便の傾向が見られ、新型コロナウイルス感染症拡大以前の水準に近づいている市場もいくつか見られるが、依然として多くの市場では回復途上にある」と分析。観光立国の復活に向けては、「観光地・観光産業について持続可能な形で『稼ぐ力』を高めるとともに、地方への誘客や消費拡大を促進しつつ、インバウンドのV字回復を図っていく必要がある」との課題を指摘している。
詳細は、https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/を参照。
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