「ケイドロ」でまちを活性化(熱海)
鬼ごっこの発展形として「警察」(鬼、追う側)と「泥棒」(子、逃げる側)に分かれて遊ぶ「ケイドロ」。幼稚園・保育園でも実施され、子供に人気が高いアクティビティーです。このケイドロを行う会場として繁華街や観光地を活用。大人が参加して行う企画が開催されて、まちの活性化に貢献する動きが出てきているようです。
その一例として話題になったのが、熱海市内を会場とした「湯けむりリアルケイドロ」という企画。元捜査一課刑事の佐々木成三氏の考案で、同市内のまちづくり会社「machimori」(銀座町)とアートプロジェクトを進める「ミーツ・バイ・アーツ」(渚町)から協力を得て、熱海の温泉街を舞台に行われました。
逃げる泥棒と追う刑事。加えて、捜査本部の担当者がチャットの写真やマイクの音声をヒントにインターネット上の情報も検索して泥棒の居場所を推測し、刑事に指令を出します。刑事はまち中にいる「情報提供者」から泥棒の特徴を聞き出しながら、逮捕を目指しました。
参加者は、制限時間内は熱海のまちを縦横無尽に動き回りますので、まちを知る機会になります。参加者の大半は熱海に来たことがない代~代。終了後には関係者と地元のビールや地元食材を使った料理で懇親会。熱海の魅力を十分に感じ取る機会になったようです。
新たな客層獲得へイベントを活用
こうした、イベントをきっかけに新たな客層をつくっていくことが熱海の観光ビジネスにはプラスになっていくのではないでしょうか。ちなみに熱海は1970年代に新婚旅行で人気を博した場所。海に面し、丘に沿ってびっしりとホテルや旅館が立ち並び「東洋のナポリ」と評された時期もありました。でも、それから設備の改修が滞り、魅力が下がり、人気は下降。忘れ去られた存在になりかけていました。
ところが、最近は古い宿をリノベーションして、アートなホテルに転換したケースが幾つも出てきています。あるいは若い女性に人気のスイーツショップが幾つもオープン。自家源泉を全室に備え、温かみある和モダンの空間で全室スイートルームのホテルが開業しました。新たに魅力あるコンテンツがそろいつつあるのです。
このタイミングであれば、1回でも来てくれれば、次につながる。そのようなタイミングと捉えて、地元もケイドロに全面協力したのでしょう。ケイドロに限らず、マラソン大会や音楽フェスなど新たな客層の開拓を行うことが可能な状況になってきました。地元の魅力を踏まえて、集客につながるイベント企画に頭をひねりましょう。
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