商業を長男に、農業を次男に
宮崎県の中央部にある西都市で、市原呉服店は116年にわたり店を構えている。創業したのは明治40(1907)年で、初代・市原長蔵が呉服屋を開業したのが始まりである。現在は反物を京都から仕入れ、地元で手縫いで着物に仕立てており、この地域で残った唯一の呉服店として、西都の着物文化を守り続けている。
「西都の商人には四国出身者が多く、初代も高知からこちらに来て商売を始めたそうです。呉服屋といっても当時の服装は着物が一般的でしたから、今でいえば衣料品店のようなものかもしれません。当初は呉服屋のほかに農業も行っていて、初代は長男に店を、次男には農業を継がせました。農業の方は市原製茶として、今もお茶の製造販売を行っています。この辺りはお茶の生産も盛んなんですよ」と、四代目当主の市原義彦さんは説明する。
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