日本商工会議所は7月20日、「人口減少に直面する地方都市の再生に向けた意見―中心市街地の再生・活性化による地域経済好循環の実現を目指して―」を取りまとめ、公表した。意見書では、「地域経済の好循環を促進する『まちなか再生』支援」「公民共創まちづくり体制の強化」「民間によるまちなか投資の喚起」の三つの視点から、政府が講じるべき施策について具体策を提示している。今後、政府など関係各方面に提出し、意見内容の実現に向け働きかけを行う。
意見書は、「地域経済の現状と地方都市再生の重要性」「地方都市再生の核となる中心市街地の現状と課題」「地方都市・中心市街地の再生に向けて講じるべき施策」の三部構成。製造業の国内回帰の機運の高まりやインバウンド復活による観 光の再活性化などにより、地方圏の稼ぐ力が向上している今こそ、良質な雇用を確保するとともに、若者・女性が「住みたい・働きたい・戻りたい」と思う地域をつくるため、地方都市の利便性・多様性を高める都市機能の再生に取り組む必要が あると訴えている。
具体的には、「地域経済循環を促進する『まちなか再生』支援」として、慢性的な人口減少・地域経済の縮小が続く地方都市のまちづくり事業において、採算性が前提となる民間の投資リスクを強調。公的マネーによる行政支援の必要性を示し、空き店舗のリノベーションや歴史・文化を生かした街並み整備を求めている。
「公民共創まちづくり体制の強化」に向けては、持続的かつ強力なまちづくりの推進のために、行政、商工会議所、商店街、まちづくり会社などが、明確なビジョンを共有しながらプロジェクトを推進していく重要性を強調。中心市街地活性化 協議会や商店街などに対する専門家派遣による面的伴走支援の強化を求めている。また、まちづくり会社の事業性は社会課題解決の側面が強く、事業拡大・新事業展開に伴う資金調達を公的支援に頼ることが多い点を指摘し、まちづくり会社の財務基盤強化なども求めている。
「民間によるまちなか投資の喚起」では、老朽化した商業施設への対応が急務であると指摘。民間のにぎわい施設の脱炭素化を求めている。また、都市再生整備計画や中心市街地活性化計画などの都市政策におけるまちなか立地へのインセンティブ拡充・強化など商業施設のまちなか誘致に対する支援、ローカルPFIの推進なども求めている。
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