日本商工会議所は9月21日、第137回通常会員総会をハイブリッド形式で開催し、全国の430商工会議所から会頭・副会頭ら約1000人が出席(オンライン含む)した。総会の冒頭にあいさつした日商の小林健会頭は、「コロナ禍で消費者のニーズが変わった。企業は新たなニーズを捉え、ビジネスモデルを転換し、革新的な商品・サービスを提供することが求められる」と指摘。「われわれ商工会議所は、『中小企業・小規模事業者の自己変革』へのチャレンジを、伴走型で力強く支援することが必要だ」と述べ、政府には、国民と企業の成長期待を高め、地域において良質な産業と雇用が創出されるための大胆な経済政策の実行を強く求めた。
小林会頭はあいさつで、「新型コロナの5類への引き下げで、社会経済活動が戻り、ようやく活気が戻ってきた。いよいよコロナを乗り越える『ビヨンドコロナ』のステージに入った。成長と分配による経済好循環を実現する絶好の好機だ」と強調。時代の転換点にある今こそ、経営者は自己変革に果敢に挑戦し、われわれ商工会議所は『多様な主体の連携拠点』として、中小・中堅企業と地域の発展に全力で取り組む必要がある」と述べた。
また、9月13日に発足した第2次岸田再改造内閣に提出した意見書の内容に触れ、「国民と企業の成長期待を高め、地域において良質な産業と雇用が創出されるための大胆な経 済財政政策を一気呵成(かせい)に実行すべきだ」と強調。「経済好循環の推進力である中小企業の変革と持続的発展」「万博の確実な成功と地域経済の再生・活性化に向けた強力な政策的後押し」「国民・企業を支える社会基盤の整備」の3点が大きな課題であると指摘した。 一部の国の輸入規制の影響を受ける日本産水産物について、「商工会議所として、魅力発信や需要喚起に向け全力で取り組む」との考えを表明。政府には、国内外への科学的根拠に基づく積極的な説明・働きかけなどを強く求めた。
総会では、岸田文雄内閣総理大臣、西村康稔経済産業大臣がビデオメッセージであいさつ。岸田首相は、「30年ぶりの思い切った賃上げ、攻めの国内投資などの力強い動きを全国の中小企業にさらに広めていくためには、商工会議所の力が不可欠」と述べた上で、政府として、「中小企業の国内投資促進、価格転嫁対策、賃上げや人への投資への支援などを積極的に進めていく」との考えを表明した。また、ALPS処理水の風評防止などの観点から、「日本の海の幸」の消費拡大に向けたイベントの実施や社食での活用などを通じた取り組みへの協力を求めた。
西村経産相は、資金繰り支援や価格転嫁対策の強化など、中小企業・小規模事業者への支援に万全を期す考えを表明。人手不足への対応については、「事業革新を伴う省人化・省力化投資、戦略分野への投資を促すための政策に今後一層取り組んでいく」との方針を示した。 また、自由民主党の茂木敏充幹事長、立憲民主党の泉健太代表、日本維新の会の馬場伸幸代表、公明党の山口那津男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表が来賓としてあいさつ。総会議事では、「2022年度事業報告(案)」と「同収支決算(案)」が異議なく承認された。
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