日本商工会議所の小林健会頭は9月19日、来所した西村康稔経済産業大臣と会談し、日本産水産物の消費拡大などについて意見交換した。西村大臣は、「わが国の水産事業者を守るべく、対策を早急に実行していく」と述べるとともに、水産物の安全・魅力発信と消費拡大に向けた取り組み強化への協力を要請。日商の小林会頭は、「地域産品の魅力発信・需要喚起に全力で取り組む」と応じた。
西村大臣は、ALPS処理水の海洋放出について、「国際基準に合致した形で放出を開始し、政府・東京電力によるモニタリングにおいても安全性が確保されIAEAも安全を確認している」と強調。「引き続き福島第一原発に常駐されるIAEAのチェックを受けながら安全性確保に万全を期していきたい」と述べた。中国による日本産水産物に対する輸入規制強化を受けた全国の水産業支援強化に向けては、9月4日に取りまとめた総額1007億円の対策の早期実行を表明。持続的な消費喚起のため、会員企業の社食での提供や贈答品での利用の働きかけなど地域における取り組み強化について要請した。
小林会頭は、「ALPS処理水放出に当たり、国際原子力機関(IAEA)による確認など、科学的根拠に基づいた安全性に関する国内外への発信を行ったにもかかわらず、中国が日本産水産物の全面輸入禁止という措置を講じたことは非常に遺憾である」との考えを表明。北海道や青森県の商工会議所から、「中国から水産物の返品などの実害が出ている」「今後の影響を憂慮している」といった声が寄せられていることに触れ、外交ルートなどを通じた繰り返しの説明と働きかけを要請した。水産業の支援強化に向けては、「全国515の商工会議所、会員事業者に対し、日本産水産物の消費拡大に向けた協力を要請するとともに、『水産物販路開拓・拡大応援パッケージ』として、展示会やクラウドファンディングによる支援など全力で応援していく」と述べた。 日商が取りまとめた応援パッケージは、「商談会の開催などによる販路開拓支援」「首都圏での展示会などへの出展支援」「クラウドファンディングを活用した情報発信・ファン作り」の三本柱。9月21日に開催した日商の通常会員総会後の懇親パーティーでは、特設ブースを設け、三陸・常磐ものや北海道の水産物を提供した。
今後、来春のギフトショーなどの見本市で水産事業者と国内外のバイヤーとのマッチングを支援。首都圏の特産品ショップへの出店を通じたプロモーションも後押しする。
クラウドファンディング大手のCAMPFIRE社と連携した特設ページも開設予定。水産事業者などへの支援の輪を広げる。
全国515商工会議所との連携も強化。各地の消費と販路拡大の取り組みも支援する。
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