日本商工会議所はこのほど、11月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、コスト増加分の価格転嫁の動向についてヒアリングした結果を発表した。消費者向け商品・サービス(BtoC)におけるコスト増加分の価格転嫁について、「全く転嫁できていない」企業は22・3%、「一部転嫁できていない」企業は55・0%で、価格転嫁できていない企業の合計は77・3%となり、2017年11月調査から1・5ポイント増加した。
消費者向け商品・サービスについて転嫁できない主な要因は、「消費者の節約志向・低価格志向が続いている(強まっている)ため」が63・0%で最多となった。次いで、「競合他社が販売価格を上げていない(据え置き、値下げ)ため」が42・2%、「需要が減少しているため」が32・7%となった。
ヒアリングした企業からは、「建設資材価格および地価はいまだ上昇し続けているが、これ以上の価格転嫁は消費者に受け入れられない可能性があり、限界を感じている」(一般工事)といった声が寄せられた。
一方、企業向け商品・サービス(BtoB)におけるコスト増加分の価格転嫁については、「全く転嫁できていない」企業は18・5%、「一部転嫁できていない」企業は62・4%で、価格転嫁できていない企業の合計は80・9%となり、2017年11月調査から4・7ポイント増加した。
転嫁できない主な要因は、「競合他社が販売価格を上げていない(据え置き、値下げ)ため」が49・9%で最も多かった。「消費者の節約志向・低価格志向が続いている(強まっている)ため」が39・3%で後に続いた。
ヒアリングした企業からは、「原材料については高値が続いたため価格転嫁を行ったが、運送料については原材料上昇に伴う値上げ直後であるため、価格転嫁できない」(食料品製造)、「人手不足で顧客からの発注に十分なサービスが提供できていないため、たとえ適正な転嫁内容であったとしても、交渉がしづらい」(物流サービス)などの意見が聞かれた。
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