経済産業省10月31日、政府の省エネルギー・省資源対策推進会議省庁連絡会議が決定した「冬季の省エネルギーの取り組み」を公表した。政府は、冬季の予備率見通しは改善傾向にあるものの、発電所のトラブルなどによっては厳しい状況となる可能性があることから、「国際情勢がわが国の燃料や電力・ガスの安定供給に与える影響については予断を許さない状況であり、国内の各主体における省エネルギーへの取り組みは引き続き重要なものとなっている」と強調。そのため、政府自らが率先して取り組むとともに、引き続き各方面に省エネルギーの取り組みを呼びかける考えを示している。
今年度の冬季の取り組みについては、「国民一人一人の理解と行動変容の促進」「産業界、地方公共団体、NPOなどに対する周知および協力要請」「政府としての取り組み」の三つの取り組み主体ごとに具体的な省エネ対応策を提示。「国民一人一人の理解と行動変容の促進」に向けては、2022年10月に開始した「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)」に沿って国民の脱炭素と豊かな暮らしの両立を後押しする取り組みについて、官民連携によるキャンペーンやプロジェクトを展開する。
具体的には、家電製品の省エネ性能カタログによる情報発信やWEBシステム「省エネ製品買換ナビゲーション『しんきゅうさん』」の活用による省エネルギー・脱炭素社会の構築に貢献する製品への買い換え促進、省エネルギー月間の広報など、産業、業務、家庭、運輸の各部門において、きめ細かな情報提供などを実施。また、新築住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化、既存住宅の断熱リフォーム、省エネ家電への買い換えを促進するとともに、高効率給湯器の導入支援や、窓の断熱改修費用の補助などを実施。ライフスタイルに合わせた省エネ、省CO2対策を提案する「家庭エコ診断制度」、移動の脱炭素化を目指す「ゼロカーボン・ドライブ」の取り組みなどを進める。
産業界、地方公共団体などに対しては、住宅・ビルなどの新築・改修において、省エネと再エネを組み合わせて一次エネルギーの収支ゼロを目指したZEHおよびZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進、エネルギー消費効率の高い家電・OA機器などの選択・購入と効率的な使用などを要請。工場、事業場、運輸部門などに向けては、省エネ法に基づくエネルギー管理の実施、電力需給の状況に応じたディマンドリスポンスの取り組み推進、事業活動の合理化や従業員の意識向上などを要請した。
政府の取り組みとしては、庁舎内の空調や照明、電気機器において省エネ化を推進するほか、電動車の導入、自動車利用の抑制、庁舎の整備・調達などでも省エネルギー化に向けた対応を実施するほか、省エネの普及活動推進、省エネ型ライフスタイル定着に向けた取り組みを進めることなどが盛り込まれている。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2023/10/20231031006/20231031006.htmlを参照。
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