政府は2日、第7回こども未来戦略会議(議長・岸田文雄首相)を首相官邸で開催し、こども・子育て政策の強化について議論した。会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、「対策は、費用対効果と納得感のあるものに集中すべき」と指摘。岸田首相は、「引き続き、可能な限りの前倒しによる各種施策の実施を検討する」と述べ、こども・子育て政策の抜本強化に取り組む考えを示した。
日商の小林会頭は、児童手当の所得制限の撤廃について、「一律の現金給付拡大は、国民理解が得られる納得度の高い施策とは思われない」との考えを表明。「必要とする人に 必要な施策を効果的に提供することが、ワイズスペンディングの観点から重要」と強調した。
歳出改革については、具体的な道筋を示すよう政府に要請。3兆円台半ばとされる少子化対策費用の財源を社会保障費などの徹底した歳出改革で賄うとする方針に触れ、「そ の額や達成時期などについて、明確なコミットメントはない」と指摘。「対策全体に対する国民の不信感につながらないか懸念する」と述べた。
また、雇用保険制度の本来の目的でない施策への給付流用については、「雇用のセーフティーネット機能を本旨とする雇用保険制度をもって対応することは適切ではない」と指 摘。育児休業給付の給付率引き上げなどを、雇用保険財政に賄うことを所与とした整理に反対の意を表明した。
岸田首相は、「スピード感ある実行のため、できるところから取り組みを実施することが重要」と強調。「何よりも子育て世代の所得向上が重要であり、最低賃金を含めた賃上げなどに全力で取り組んでいく」と述べ、こども未来戦略方針の加速化プランに掲げる各種施策の制度設計などの具体化と、全世代型社会保障を構築する観点からの改革工程の 年内策定を関係閣僚に指示した。
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