APECビジネス諮問委員会(ABAC)日本委員らはこのほど、岸田文雄首相を訪問し、2023年「APEC首脳への提言書」を手交した。提言では、23年の全体テーマ「公平、持続可能性、機会」に沿って設置した三つの作業部会、二つのタスクフォース「経済統合」「持続的成長」「デジタルとイノベーション」「金融」「包摂」の5分野でビジネス界の考えを取りまとめ。「経済統合」「持続的成長」「デジタルとイノベーション」のテーマでは、「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた具体的措置の実施」「ルールに基づく多角的貿易体制の支持」「サプライチェーンの強靭性と連結性の強化」「気候への影響改善に向けた貿易協定の活用」「野心的な気候変動対応策の実施」「公正で現実的かつ野心的で持続可能なエネ ルギー・トランジション推進」「持続可能な食料安全保障の確保」「循環型経済の実現」「AI時代における包摂的な成長」「責任あるAIの奨励(生成AI、大規模言語モデル、汎 用AI)(デジタルヘルスへの適用)」などを提案した。「金融」「包摂」の分野では、「越境デジタル貿易金融サービスの促進」「経済的潜在力を発揮しきれていない層(女性・中小零細企業・先住民族など)に対する貿易の包摂性増進」「中小零細企業の持続可能な開発への参加促進」などを求めている。
ABACは、APEC首脳が「ビジネス界の声」を直接聞くための団体として1996年に発足。APECに参加する21カ国・地域の各首脳が、それぞれの国・地域でビジネス界の代表者として指名 したABAC委員により構成されている。日本では99年にABAC日本支援協議会を設立し、日本経済団体連合会、日本商工会議所などの経済団体、業界団体、関係省庁などの支援を得て活動を展開している。
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