日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会を事務局とする「経営者保証に関するガイドライン研究会」はこのほど、「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」を改定した。2022年3月の公表以来、初めてとなる。
今回の改定は、「経済財政運営と改革の基本方針2023」および「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂 版」において、企業経営者に退出希望がある場合の早期相談体制の構築など、退出の円滑化を図る旨が明記されたことなどを受けて実施。廃業手続きに早期に着手することが、保証人の残存資産の増加に資する可能性があることなどを明確化した。
具体的には、「ガイドラインに基づく保証債務の整理への誠実な対応」として、廃業手続きに早期に着手したことが、保有資産などの現象・劣化防止に資する可能性があることを明記。「保証債務の履行」の項目では、破産手続きにおける自由財 産の考え方を踏まえつつ、事業清算後の新たな事業の開始などのため、一定期間の生計費に相当する額や華美でない自宅などを、当該保証人の残存資産に含めることを検討することなどを求めている。
また、「主たる債務者および保証人における対応」「支援専門家における対応」の項目でも、廃業手続きの早期着手による回収見込額増加の可能性について記載を追加した。今回の改定が、主たる債務者、保証人、対象債権者、保証債務の整理に携わる支援専門家などに浸透することで、退出希望がある場合の早期相談と円滑な保証債務整理の促進が期待される。
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