日本商工会議所の小林健会頭は1月17日、定例の記者会見で、能登半島地震について、同12日に自ら被災会議所を訪問したことを報告するとともに、18日に、被災地の声を反映して緊急要望を決議したことに触れ、復旧・復興の各ステージに応じて国などへ要望を出していく考えを示した。
小林会頭は、12日に訪問した石川県商工会議所連合会と富山県商工会議所連合会で両県連会長らと懇談し、現地での生の声を聞いたことに触れ、「問題は、被災地はほとんどが小規模あるいは零細事業者であるということだ」と指摘。地域経済の中心である和倉温泉が大きな被害を受けている七尾商工会議所管内の状況を例に挙げ、「和倉温泉の再建が一つの重要な鍵になる。現在被災地から避難している人たちが戻ってきて、生業ができて、それと並行して旅館を修復していくことができないと、産業全体の回復が難しい」との考えを述べた。
また、18日に、被災地の声を反映して「能登半島地震による被災者の1日も早い生活再建と事業再開に向けて」緊急要望を決議したことを報告。「今はまず、生活再建への支援、インフラの早期復旧が求められるが、その後は、自社の操業支援、金融支援などが必要」と述べ、復興の各ステージに応じた要望活動をしていく考えを示した。
4年ぶりとなる合同訪中団の派遣については、コロナ前と比べて遜色ない規模で再開されることに期待を表明。「中国は一衣帯水の隣国だ。日本経済にとって、欠くべからざるパートナーであり、これからも波風が立つ可能性はあるが、経済界の交流を絶やしてはならないことは自明の理だ。お互いに理解を深めながら経済交流を行っていくということは、大いに意義があると思う」と述べた。
中小企業の賃上げについては、「正直に申し上げると大変だが、やり抜かなくてはならない。問題は収益を具体的にどのように上げるかだ」と指摘。賃上げ原資を確保する方法として、まずは「自分たちの努力により、付加価値を増やし、生産性を上げること」と述べ、自己変革の必要性を強調するとともに、中小企業の構造的な賃上げに向けては、大企業と中小企業の共存共栄が重要との考えを示し、「大企業のトップが中小企業を向いて価格交渉をすることは、社会的な使命である。中小企業も臆することなく(材料費や労務費などの)価格交渉をしてもらいたい」と呼び掛けた。
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