一般財団法人日本ファッション協会(JFA)はこのほど、「日本クリエイション大賞2023」の選考結果を発表した。同賞は、製品、技術、芸術・文化活動、地域振興、環境、福祉などジャンルを問わずクリエーティブな視点で生活文化の向上に貢献し、次代を切り開いた人物や事象などを表彰するもの。今年度は、109件の推薦案件の中から大賞1件と、各賞として「交流と文化の町賞」「しあわせ職場賞」「宇宙浪漫賞」の3件を選定した。
大賞に輝いたのは、世界に先駆けて「ペロブスカイト太陽電池」を開発した桐蔭横浜大学特任教授でペクセル・テクノロジーズ株式会社代表取締役の宮坂力氏。ペロブスカイト太陽電池は、太陽光パネルと異なり軽量・薄型で折り曲げやゆがみに強く、ビルの壁や窓、車やトタン屋根の上などどこにでも設置できるものだ。曇天でも発電でき、塗布や印刷技術で量産も可能なことなどから次世代太陽電池として期待されている。
同氏らは2009年、世界で最初にその開発に成功。その功績から同氏はノーベル賞の候補にも挙げられており、現在は企業数社と連携して早期実用化を目指している。開発から現在までペロブスカイト太陽電池の普及に向け不断の努力を続けていることが評価された。
「交流と文化の町賞」は、全国の高校写真部・サークルを対象とした「写真甲子園」の開催を通して地域に交流の輪を広げた北海道上川郡東川町が受賞。「しあわせ職場賞」には、社員のおよそ7割を占める知的障がい者らが人や環境に優しい筆記具「キットパス」や「ダストレスチョーク」などの製造を担う日本理化学工業株式会社(神奈川県)、「宇宙浪漫賞」には、安全で燃費に優れた小型衛星用「水エンジン」(水蒸気式推進器)を開発し販売する東京大学発の宇宙ベンチャー、株式会社Pale Blue(ペール・ブルー、千葉県)が選ばれた。
また、同時に発表された「第21回シネマ夢倶楽部表彰」では、23年に国内で公開された新作映画から推薦委員が上位3位を選定する「ベストシネマ賞」の第1位に『PERFECT DAYS』(ヴィム・ヴェンダース監督、23年、日本)、第2位に『せかいのおきく』(阪本順治監督、23年、日本)、第3位に『高野(たかの)豆腐店の春』(三原光尋監督、23年、日本)が選ばれた。
詳細は、https://www.japanfashion.or.jp/を参照。
(写真説明)
1大賞:折り曲げやゆがみに強いペロブスカイト太陽電池
2交流と文化の町賞:2023年「写真甲子園」本戦大会での公開審査会(写真提供:写真甲子園実行委員会)
3しあわせ職場賞:ライスワックスを原料とした「キットパス」。ガラスに描いて消せる筆記具
4宇宙浪漫賞:小型衛星に搭載された水蒸気式推進機が宇宙空間で作動しているイメージ図
最新号を紙面で読める!