政府は2月9日、第17回「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」を首相官邸で開催し、「技能実習制度及び特定技能の在り方に関する有識者会議最終報告書」を踏まえた政府方針を決定し、公表した。現行の外国人技能実習制度を発展的に解消。人手不足分野における人材確保と人材育成を目的とする「育成就労制度」を創設する。
新たな「育成就労」制度では、基本的に3年間の就労を通じた育成期間において、対象となる外国人ごとに育成就労計画を定めた上で計画的に特定技能1号の技能水準の人材に育成することを目指す。適正化方策を講じた特定技能制度と連続性を持たせる。
転籍については、「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・明確化するとともに手続きを柔軟化。本人の意向による転籍は、「同一の機関において就労した期間が一定の期間を超えている」「技能検定試験基礎級など、一定水準以上の日本語能力に係る試験に合格」することなどの要件を満たす場合に同一業務区分内に限り認める。
転籍を制限する期間については、当分の間、各分野の業務内容などを踏まえ、分野ごとに1~2年の範囲内で設定。人材育成の観点を踏まえた上で1年とすることを目指しつつも、1年を超える期間を設定する場合、1年経過後は昇給その他待遇の向上などを図るための仕組みを検討する。
日本語能力向上については、受け入れ機関が支援に積極的に取り組むためのインセンティブを設けるほか、A1からA2相当までの範囲内で設定される水準の試験を含む新たな試験の導入や受験機会の確保の方策を検討。日本語教材の開発など、母国における受験準備のための日本語学習支援の実施なども進める。
外国人を受け入れる監理団体は、受け入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与を制限するほか、外部監査人の設置を義務化し、独立性・中立性を担保。送り出し機関については、二国間の取り決めを新たに作成し、悪質な送り出し機関の排除に向けた取り組みを強化する。
会合に出席した岸田文雄首相は「わが国が外国人材から選ばれる国になるという観点に立ち、本日決定した方針に基づき、技能実習制度、特定技能制度の見直しを進める」と強調。関係閣僚に、今国会への法案提出に向けた作業の加速化、外国人材の受け入れ環境の整備に取り組むよう指示した。
詳細はhttps://www.kantei.go.jp/jp/singi/gaikokujinzai/kaigi/dai17/gijisidai.htmlを参照。
最新号を紙面で読める!