政府は3月と9月を「価格交渉促進月間」と位置付けて、受注側と発注側の企業間での価格交渉、労務費、原材料費、エネルギーコストなどの上昇分を適切に取引価格に転嫁することを呼び掛けている。齋藤健経済産業大臣は、専用サイトの動画で昨年11月に政府が定めた「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に触れ、発注側企業に対しては、「価格転嫁に応じず、取引先が疲弊すれば結局は自分の首を絞めることになる」と強調。「サプライチェーンの先端まで価格転嫁の波が伝わるよう取引先に対しても、さらにその取引先としっかり交渉し、転嫁を行うよう促してほしい」と述べた。
受注側の中小企業に対しては「思い切って発注企業へ価格交渉を申し出てほしい。その際、労務費の指針は交渉の武器にもなる」と指摘。4月以降に受注側企業を対象に実施予定のフォローアップ調査に触れ、「今年1月には220社の社名が公表され、発注企業の取引方針が改善されつつある」と述べ、調査への協力を求めた。
経産省では、経済団体や事業者団体などに、特に「価格交渉及び価格転嫁への積極的な対応」「労務費に関する『指針』の周知、積極的な活用」「フォローアップ調査に対する協力」「パートナーシップ構築宣言への参加」についての周知・徹底を要請。「価格交渉及び価格転嫁への積極的な対応」に向け、発注企業に対しては、下請中小企業振興法に基づく「振興基準」に則り、受注側中小企業からの価格交渉の申し出には遅滞なく応じ、価格転嫁に積極的に応じるなど、サプライチェーン全体の競争力向上や、共存共栄の関係の構築に向けて、適切に対応するよう求めている。一方、受注側の中小企業には、積極的に価格交渉を申し出るとともに、「下請けかけこみ寺」などの活用を呼び掛けている。
期間中は、価格交渉に役立つ知識を基礎から学べるeラーニングや実践オンライン講習会も提供。講習会などの日程は「適正取引支援サイト」で随時公開していく。
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