日本商工会議所の小林健会頭と石田徹専務理事は3月15日、令和6年能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市、珠洲市、七尾市を相次ぎ訪問した。現地では、久岡政治会頭(輪島)、刀祢秀一会頭(珠洲)、杉野哲也会頭(七尾)らと面会し、被災地の現状と課題について話を聞くとともに、今後の復旧・復興に向けた支援などについて意見交換。訪問後、金沢市でマスコミの囲み取材に応じた小林会頭は「一言で言うと大変だ。写真で見るのとは違う。出て行ってしまった人たちをどう戻すかが一番(重要)だ」との考えを示した。
また、義援金については、2月末時点で全国の商工会議所などから約7億4千万円が集まったことを報告。4月末まで締め切りを延長して、被災地に届ける考えを示した。
小林会頭は、最初に訪れた輪島市で、輪島商工会議所の久岡会頭、角副会頭、新出副会頭らと面会。久岡会頭らからは、「生業、事業を再開させるためには、働き手が必要。人のつなぎ止め、人流が重要」「復興、再建に向けてはグランドデザインが必要。創造的なまちづくりで市民に希望をもたらすプロジェクトとするため、国や県にも協力を仰ぎたい」などの指摘・要望があった。 珠洲商工会議所では刀祢会頭から話を聞いた。刀祢会頭は、「事業の再建を考える段階にはなく、生活再建を目指す状況」「瓦礫の撤去に数年要する見通し。住民、働き手が戻ってくるか、人流が課題」と指摘。今後、人口減が加速度的に進行し、行政や病院などのサービスが低下する懸念を表明した。小林会頭は、「資金面、人材面、商工会議所が必要なことは全面的に支援する。われわれは常に皆さんと共にある」と述べ、全国の商工会議所の総力を挙げて支援していく考えを示した。
市中心部や和倉温泉で水道の復旧が始まるなど事業再開に向けたステージにある七尾市では、杉野会頭らと会談し、小林会頭は「能登半島の復興は、和倉温泉が核となって引っ張ってほしい。できることはなんでもする」との考えを表明。杉野会頭は、「和倉温泉が能登の基点。再建・復興がシンボルになる」と述べ、復旧・復興への意欲を示した。
また、小林会頭は、のと里山空港内に2月19日に開設されたワンストップの相談窓口である能登事業者支援センターを訪問。同センターに応援出張し、被災事業者の支援業務に奮闘する札幌、高松、高知商工会議所の経営指導員を激励した。同センターには、開設時から全国の経営指導員が常時3人態勢で相談業務などを担う。日商では4月以降の応援出張者についても、引き続き参加を呼び掛ける予定にしている。
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