日本・東京商工会議所は4月18日、「知的財産政策に関する意見」を取りまとめ、公表した。日商の宗像直子知的財産専門委員長は22日に内閣府知的財産戦略推進事務局の奈須野太事務局長、特許庁の濱野幸一長官、24日に中小企業庁の須藤治長官を訪ね、意見書を手交し、意見の内容の実現を強く求めた。
意見書では、投資拡大や賃上げ実現など歴史の転換点を迎えているわが国において、雇用の約7割(3大都市圏を除く地方部は約9割)を支える中小企業の持続的な成長なくして、日本経済の再生は果たせないと指摘。中小企業の「稼ぐ力」を強化する原動力はイノベーションであり、その源泉は知的財産をはじめとする無形資産の活用にあることから、イノベーション大国の再建と日本経済の底上げの実現に向けて、知的財産政策の拡充が重要と主張している。
こうした考えの下、意見書は、「国際競争力強化に向けた知的財産戦略の早期確立」「中小企業の役割・機能に応じた『知財支援モデル』の構築」の2点を大きな視点として整理。①中小企業・スタートアップにおける知的財産の創造・活用、②企業の知的財産の価値・取引適正化を支える権利の保護強化、③知的財産を生かした地方創生の推進、④日本発コンテンツ関連産業の拡大とデジタル市場における環境整備の4点を具体的な要望項目の柱としている。
①については、知財経営への気付きのための普及啓発・支援体制の強化、知財の適正な価値評価に重点を置いた中小企業・スタートアップのイノベーション促進策の強化などを提案。②については、企業の共存共栄に向けた権利の保護強化、侵害に負けないための支援体制の強化などが必要としている。③については、地域に良質な仕事・雇用を生み出すための産学官金連携の推進、地域の特色を生かした知財活用による地域経済活性化に向けた支援の強化などを要望。④については、メタバース・生成AIなどの新市場での新たなコンテンツの創造促進と権利保護の環境整備などを求めている。
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