「1%経済圏域」。私たちが商工業を営む山陰エリアを表す言葉です。GDP、総人口、いずれの項目で比較しても、おおむね1%圏域であるといえます。島根県安来市は、そのど真ん中、島根県と鳥取県の県境に位置しています。人口3万6千人余りではありますが、鉄鋼業クラスターが形成されており、「鉄のまち」として周辺自治体と関連の深い経済圏を形成しています。
この地における鉄の歴史は古く、日本古代からの「たたら製鉄」と大いに関係しています。11世紀以降、資源に恵まれた中国山地を背景に、山陰地方で盛んに鉄の生産が行われました。安来港は鉄の積出港として栄え、安来節や料亭、問屋街跡など、今でもその面影を感じ取れます。また、当地には足立美術館や鷺(さぎ)の湯温泉、月山富田城などの観光資源もあり、これらと「鉄」や「歴史」をつなげ、安来だからこその物語をつくっていくことも、これからの産業振興に必要だと考えています。
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