日本・東京商工会議所は6月5日、「中小企業の賃金改定に関する調査」の結果を公表した。同調査は、物価上昇や人手不足を背景に賃上げの機運が高まり、雇用の7割を支える中小企業の賃上げへの関心が高まる中、中小企業の賃上げの実態を詳細に把握し、今後の要望活動に生かしていくために実施した。日商・東商が中小企業の賃上げ額・賃上げ率を調査し公表するのは今回が初めて。調査期間は2024年4月19日~5月17日で、回答企業数は1979社。
正社員の賃上げ額(月給)は加重平均で9662円、賃上げ率は3.62%となった。従業員数20人以下の企業では8801円、3.34%だった。
5%以上の賃上げを行った企業は2割強(全体24.7%、20人以下23.5%)、4%以上の賃上げは3割強(全体35.8%、20人以下32.3%)となった。
業種別では、その他サービス業、小売業で4%台と高く、運輸業、医療・介護・看護業は2%台にとどまった。
パート・アルバイトの賃上げ額(時給)は加重平均で37.6円、賃上げ率は3.43%となった。従業員数20人以下の企業では、43.3円、3.88%だった。
5%以上の賃上げを行った企業は3割近く(全体27.5%、20人以下29.7%)、4%以上の賃上げは4割超(全体43.6%、20人以下46.4%)と、大幅な賃上げを行う企業の割合が高い。
業種別では、医療・介護・看護業(4.86%)、運輸業(4.67%)で4%台後半と高い賃上げ率となった。介護報酬、標準運賃の設定もあり正社員の賃上げが難しい中、パート・アルバイトの賃上げにより人員確保を図る様子がうかがえる。
24年度の賃上げについて「賃上げを実施(予定含む)」と回答した企業は74.3%と7割を超え、1月調査(61.3%)から13.0ポイント増となり、中小企業でも賃上げへの取り組みが進んでいる。しかし、その内「業績の改善が見られないが賃上げを実施予定」は59.1%と、1月調査(60.3%)から1.2ポイント減少も、依然6割近くが「防衛的な賃上げ」を行っている。
従業員数20人以下の企業では、「賃上げを実施(予定含む)」は63.3%と全体より11.0ポイント低く、「防衛的な賃上げ」の割合は64.1%と5.0ポイント高い。中小企業の中でも、規模の小さな事業所では、賃上げの動きはやや鈍く、厳しい状況がうかがえる。
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