われわれ人間には二つの命(寿命)がある、と私は思っています。
死という言葉には意味が二つあって、一つ目は人としての命がなくなった時を表し、もう一つは自分という存在が地球上の人の記憶からなくなった時を表す、と考えているのです。もしかすると後者が本当の意味での死なのではないか、と思うこともあります。
織田信長は、本能寺の変で自刃したとされているのが49歳ですが、信長の行いや生きざまは現在も語り継がれ、肉体の死後400年以上も、人々の意識の中で生き続けているのです。
コンサルタントの使命は業績を上げること。そのためには敵をつくらず、内外のスタッフから信頼される必要を感じ、私は「怒らない」と決めました。
私は下町の職人のせがれで、他人が聞いたらけんかでもしているかのような荒い言葉遣いの中で育ち、自分も語気の荒いしゃべり方をしていました。しかし船井総研に入ってからは、下町言葉を封印。役員になってからは、怒ったことは一度もありません。
「なぜ?」と尋ねられますが、「怒って良いことは一つもないから」、それだけです。怒りの言葉をぶつけると相手は傷つき、場合によっては恨みの感情まで抱きます。最近の若い人は叱られた経験も少なく、親にも怒られたことがない人さえいるのですから、なおさらです。
船井総研にいた頃、宝石業主の集まりからスタートした「Koyama倶楽部」という勉強会が、30年間続きました。その関係から始まった会員のご子息のための勉強会「コヤマ二世会」も、昨年までやってきました。父と子、それぞれのベクトルがそろうので、二世会に参加した組織は成長しました。一般的には、父親が信頼するコンサルタントに対して次世代はアンチになるようですが、私の場合は二世の人たちからも、熱い支持をいただいています。それも小山は何を相談しても怒らず親身になって聞いてくれる、という安心感があるからだと思います。
人との付き合いで大事な事は仲良くすることだと、最近ますます感じています。「敵をつくらない」生き方は、ビジネスのみならず人生を豊かにします。
腹が立っても表情を変えず、感情を言葉に乗せないことが肝要です。相手にカチンと感じさせてしまってからでは、伝えたいことは伝わりません。
トップの皆さんの業務は、われわれコンサルタントと似ている部分が少なくありません。培ってきた知恵や経験、人生哲学を人に上手に伝えることができれば、30年後、50年後、100年後、あなたの二つ目の命が組織を支えているかもしれません。
敵をつくらない生き方を実践してみてください。
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TEL : 03-5423-2323
担当 : 髙橋
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