中小企業庁に設置された有識者による「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」はこのほど、第2次中間報告書を公表した。同研究会は、外需獲得、地域経済のけん引や賃上げに特に大きな役割を果たす「100億企業(売上高100億円以上など中堅企業クラスに成長する中小企業)」に注目し、100億企業の創出の加速化に向けた政策の方向性などを検討。政策の方向性の柱として①より多くの経営者が100億企業を目指しやすくなる仕掛けづくり②成長を後押しする資金調達手段としての資本性資金に対するイメージ転換・活用促進の先導③組織の総合的な能力向上に向けた人材確保・育成、組織体制構築への支援――の3点を提示している。
①については、中小企業の成長を応援する社会の機運醸成を図り、成長志向の経営者を増やすこと、また、成長志向の経営者が100億達成の成長機会を見いだせる質の高い経営者ネットワークを提供することが重要と指摘。行政の主導により 「売上高100億円への成長」という共通の目標を持った多様・異質な企業の経営者ネットワークを形成することが効果的と主張している。
②については、エクイティ・ファイナンス(企業が新株を発行し、出資を募る資金調達手法)に対して「外部資本を入れると経営権を失うのではないか」といったネガティブなイメージを抱いている中小企業経営者も多いことから、エクイティ・ファイナンスへの正しい理解の醸成が必要と述べている。さらに、政府系金融機関による資本性劣後ローンの提供拡大など、メザニン・ファイナンスに対する成長資金の調達方法としての認知の拡大とさらなる活用の促進も提案している。
③については、中小企業大学校による研修、中小機構のハンズオン支援、人材活用ガイドラインの活用などの促進を要望している。また、官民のマッチングサービスなどのさらなる活用促進やM&Aへの支援も求めている。
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