日田商工会議所(大分県)と日田市内にある日田地区商工会はこのほど、県と大分大学の協力を得て、会員事業者の防災意識向上のための実証実験を開始した。近年、短いスパンで大規模な豪雨災害などに見舞われ、地域経済が大打撃を受けた同市は、今後再び想定される災害の被害を最小限にとどめるため、同所などの公式SNSを利用し、災害リスク情報を会員企業に伝達する実験を行う。
実験は大分大学減災・復興デザイン教育研究センター(CERD)が運営する「災害情報活用プラン」から災害警戒情報、警戒レベルなどの災害リスク情報を同所などが受け取り、それを同所などのLINE公式アカウントから各会員事業者に情報発信する。線状降水帯による河川の氾濫など過去に起きた水害の経験も踏まえ、15時間以内の災害リスク情報が会員企業に伝達される。同実験の取り組み期間は出水期にかかる6月から秋の台風を見据えた10月までの5カ月間の予定。今後、会員事業者からの意見なども参考に改良を進め、地域の被災リスク低下に努める。
同市は2017年の九州北部豪雨では191件の事業者が被災し、23年7月には梅雨前線の影響により、23件が豪雨災害の被害を受けた。同所などの商工団体は、補助金などで復興に向けた伴走支援や、市町村と共同で、小規模事業者の事業継続力強化を支援する事業継続力強化支援計画を策定し、災害から地域経済を守る対策を行っている。
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