日本・東京商工会議所は6月25日、「中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」の調査結果を公表した。エネルギー価格上昇による影響については、88.1%の企業が経営に影響を受けており、「影響は深刻で、今後の事業継続に不安がある」とする企業も9.2%あった。また、脱炭素に対する取り組みについては「脱炭素に関する取り組みを行っていない」との回答は28.6%となり、中小企業においても、71.4%が脱炭素に関する何らかの取り組みを実施している結果となった。
同調査は、大企業のみならず中小企業においても脱炭素経営に向けた取り組みが急速に広がり始めている中、中小企業の脱炭素への取り組み状況・課題、政府などへ期待する支援内容などの現状を把握し、今後の要望活動に生かしていくために 実施した。調査期間は2024年3月20日~4月26日。全国2139社から回答を得た(回答率14.0%)。
エネルギー価格上昇に対する取り組みとして「自社製品・サービスの値上げ(エネルギー価格上昇分の価格転嫁)」を行った企業が約4割(42.8%)で最多。省エネに取り組む企業も多かった。
価格転嫁の状況では、半数以上(51.8%)が「価格転嫁できている」と回答した。「影響は深刻で、事業継続に不安」と回答した企業に限ると、「ほとんど・全く価格転嫁できていない」との回答が合わせて55.8%と半数を超えた。
実施している脱炭素に関する取り組みについては「エネルギーの使用量・温室効果ガス排出量の把握・測定」は25.0%が取り組んでいるが、従業員数20人以下の企業では1割を切った。
脱炭素に取り組む理由は「光熱費・燃料費の削減」が75.2%と最多。「企業としての評価や知名度の維持・向上」(30.5%)、「ビジネス環境の変化や技術革新への対応」(25.6%)など、企業ブランディングや経営革新につなげようと する動きも見られた。
政府・自治体に求める支援としては、「省エネ設備、再エネ導入などに対する資金面での支援」が71.3%と最も多く、資金面でのサポートを求める声が多かった。商工会議所に対してはセミナー実施や、国・自治体支援の情報提供など「知る」に関する要望が多かった。政策提言への期待も21.8%あった。
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