日本商工会議所は7月18日、「2025年度中小企業・地域活性化施策に関する要望」を取りまとめ、公表した。同日、日商の立野純三中小企業委員長が中小企業庁の山下隆一長官に要望書を手交。価格転嫁など取引適正化に向けた「公正なビジネス環境整備」をはじめ、民間の挑戦を後押しする具体的施策の迅速な実行と必要な予算措置を求めた。
要望書では、「日本はデフレ脱却の好機を迎えているものの、地域経済社会を支える中小企業・小規模事業者は、人口減少や流出、消費低迷など構造的な課題に加え、原材料やエネルギー費の高騰などコストプッシュ型の物価上昇、人手不足に起因する労務費の増加や供給制約などに直面し、収益確保が難しい状況にある」と指摘。「官民挙げてのパートナーシップ構築宣言の推進により、価格協議は進展してきているものの、価格転嫁は依然として厳しく道半ば」との認識を示し、公正な取引環境の整備とともに、中小企業の生産性向上を通じた付加価値拡大など自己変革への挑戦に対する予算措置を求めている。
要望は、①価格転嫁など、取引適正化に向けた「公正なビジネス環境整備」②人手不足など、五つの課題克服への「自己変革による挑戦支援」③地域の活力強化と合わせた「小規模事業者の自立的な経営支援」④地域経済の好循環の実現に向けた「産業構造の再構築・都市の再生」の4点で構成。「公正なビジネス環境整備」については、価格転嫁の商習慣化や不公正な取 引慣行の見直し、知財侵害抑止の強化といった取引適正化の推進、民間の成長への挑戦を後押しする大胆な税財政支援の拡充などを求めている。
また、「自己変革による挑戦支援」のため、「賃上げや成長投資の原資確保」「深刻化する人手不足」「中小企業の人材確保・定着」「コロナ禍などの過剰債務」「地域における事業創出と所得拡大」への対応が必要との認識を提示。事業承継の 推進や、事業再構築、新分野進出に向けた継続的な支援、中小企業のデジタル実装・省力化投資、賃上げ・資金繰りなどへの対応とともに、地域経済の好循環創出に貢献している中堅企業への支援強化が必要としている。
さらに、地域の活力強化と合わせた「小規模事業者の自立的な経営支援」を要望。小規模事業者などを伴走支援する商工会議所などの経営支援体制の拡充に加え、金融機関や中小企業支援機関などとの協働による「早期相談・早期支援」体制の強化、地域の稼ぐ力の強化による小規模事業者の所得拡大に向けた支援を求めている。
一方、地域経済の好循環の実現に向け、「産業構造の再構築・都市の再生」の推進が必要と指摘。高付加価値化を基軸とした観光振興施策や、地域に人と投資を呼び込む「稼ぐ産業」の育成・強化、地域の消費と投資を喚起する地方都市の再生・活性化とともに、大規模自然災害からの復興・再生への取り組みを要望している。
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