日本商工会議所は8月9日、全国から日商簿記1級合格を目指す高校生たちが集まり簿記日本一を決める「日商簿記甲子園」(全国高等学校日商簿記選手権大会)を岐阜県瑞穂市の朝日大学で初めて開催した。全国の予選を勝ち抜いた52校103人が出場し、簿記の知識を競い合った。団体の部は県立岐阜商業高校のチーム名「県岐商にゃんず」、個人の総合と工業簿記・原価計算部門は下関商業高校の田村碧斗さん、商業簿記・会計学部門は県立岐阜商業高校の堀江尚憲さんが優勝した。
「日商簿記甲子園」は今年度に日商簿記検定が70周年を迎えることを記念して企画された。簿記の学びにより企業経営を会計面から理解し、企業の発展ひいては地域経済、日本経済の発展に貢献する産業人材の育成を図るとともに、簿記を学ぶ者同士の交流・友情を育むことを目的としている。
当日は、52校446人が参加した厳しい予選を勝ち抜いた、団体戦出場の26チーム(1チーム3人構成)に団体戦では出場権を得られなかった個人得点上位者25人を加えた合計30校103人の精鋭が参加。第1部(商業簿記・会計学)、第2部(工業簿記・原価計算)から構成される日商簿記検定1級の範囲の中で基礎的と思われる論点を中心としたペーパー試験で点数を競った。
競技終了後は、プロ野球選手を引退後、ゼロからのスタートで公認会計士の資格を取得した奥村武博氏による特別講演や、出場者同士の交流会を開催。高校生たちが知識と理解を一層深めるとともに、簿記を学ぶ者同士で友情を育むことができるよう後押しした。
簿記検定試験は、1954年の施行開始以来、70年の歴史を誇り、現在に至るまで、多くの企業が社員に対して資格取得を奨励しているほか、大学や短大の推薦入試、単位認定の基準にも採用されている。中でも1級は、公認会計士や税理士などの国家試験の登竜門として位置付けられており、極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行えるレベルとなっている。
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