日本商工会議所の志岐隆史観光・インバウンド専門委員長と菅原昭彦共同委員長は8月1日、国土交通省の斉藤鉄夫大臣を訪問し、日商が6月21日に取りまとめた要望「新たな局面を迎えるわが国の観光に関する要望~地域を支える産業として観光が発展するために~」を手交した。観光地域づくりの推進体制の強化、観光の未来を担う「ひとづくり」への支援、地域に人と投資を呼び込む地域ブランディングの促進などを強く求めた。
斉藤大臣との懇談で志岐委員長は「各地商工会議所は関係者の協力関係や戦略づくりが課題と認識している。観光戦略策定機能の強化やその実効性の向上が必要」「観光産業の人手不足は深刻。将来を担う若者に、観光産業に行きたいという憧れを醸成するような取り組みが必要」「各地商工会議所では、郷土愛や愛着、誇りを醸成するブランドづくりに取り組んでいる。こうした地域ブランディングのプロジェクトへの支援をお願いしたい」「コロナ禍後は、熱心に勉強して日本を訪れる方が増えている。それに応えるような各地域の素材づくり、インフラづくりが必要ではないか」と要望した。
菅原共同委員長は「各地商工会議所からは、地域の観光推進体制に対する課題や不安を感じる声が聞かれている。観光戦略実現のために、事業者や行政を巻き込み、地域一体となって取り組む視点が不可欠。DMO(観光地域づくり法人)における産業界との連携強化の支援とともに、地域の観光戦略に位置付けられた、産業界や事業者のプロジェクトを支援する仕組みの整備、施策の充実をお願いしたい」「DMOは、DMO自身が稼ぐことが目的ではなく、観光の地域への効果を最大化し、地域の事業者がもうけるためにある仕組み。いわば観光インフラの一つであり、人材・財政面からの支援をお願いしたい」と訴えた。
斉藤大臣は「観光はこれからの日本経済・地域経済を引っ張っていく最大の産業になるようにしていかないといけない。本日要望いただいた内容は非常に重要であると認識しており、しっかり受け止めさせていただく」とコメントした。
要望書は観光立国の実現、持続可能な観光地域づくりに向けて、「地域経済の好循環を促す観光地域づくりの促進」「地域に人と投資を呼び込む地域ブランディングの促進」「観光産業の持続的発展に向けた環境整備」の観点から、国が重点的に強化すべき施策について提言している。
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