日本商工会議所は9月30日、9月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。9月の全産業合計の業況DIは、8月から1・0ポイント改善のマイナス20・0となった。調査期間は9月11~18日。全国338商工会議所の会員企業1870社から回答を得た。
9月の調査結果では、省力化投資を中心とする設備投資や都市部の再開発などの民間工事が堅調な建設業や、家電製品など高額商品を中心に消費税率引き上げ前の駆け込み需要が見られた小売業の業況感が改善した。一方、卸売業からは台風15号や大雨の影響に伴う農産物や飲食料品の供給不足・価格上昇による業況悪化を指摘する声が聞かれた。深刻な人手不足や原材料費の高止まり、米中貿易摩擦や世界経済の先行き不透明感、根強い消費者の節約志向を指摘する声は依然として多く、中小企業の業況改善に向けた動きは力強さを欠いた。
ヒアリングした企業からは、「消費税率引き上げ前の駆け込み需要の影響からか発注が増え、売り上げは増加」(建築工事)、「消費税率引き上げを前に、テレビや冷蔵庫、暖房器具などの家電製品や家具などの需要が増加し、客単価が上昇」(百貨店)といった消費税率引き上げ前の駆け込み需要の影響が聞かれた。一方で、「人手不足は慢性化しており、受注量に比べ人手が足りず、厳しい状況が続いている」(一般工事)、「飲食料品の仕入れ価格の上昇に加え、配送経費の増大による負担が大きい」(飲食料品卸売)、「消費税率引き上げを見越した原価上昇があり、採算が悪化」(寝具小売)といった人手不足やコスト上昇の影響を訴える声が寄せられた。
先行き見通しDIは、9月比マイナス4・5ポイントのマイナス24・5と悪化を見込む。個人消費の拡大やインバウンドを含む観光需要拡大への期待感がうかがえる。一方、消費税率引き上げの影響や人手不足の深刻化、原油価格を含む原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ、貿易摩擦の激化や世界経済の動向、日韓情勢の行方など不透明感が増す中、中小企業の業況感は慎重な見方が続く
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