公益財団法人日本生産性本部はこのほど、第15回「働く人の意識調査」の結果を公表した。働き方の一環としてのテレワークの実施率は16.3%で過去最低であった前回1月調査(14.8%)から微増。23年1月調査から続いた減少が増加に転じた。また、自宅勤務で効率が上がった割合は上昇している。同調査は、コロナ禍が組織で働く人の意識に及ぼす影響調査として2020年5月に開始以降、四半期ごとに実施しているもの。景況感や勤め先への信頼度、キャリア形成、働き方などについて継続して調査している。
今回の調査は、新型コロナウイルスが感染症法上の「5類」に移行してから1年2カ月経過後の24年7月に、20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている人(雇用者)1100人に対し、インターネットを通じてアンケート形式で調査した。
調査結果から働き方について見ると、テレワークの実施率は過去最低であった前回1月調査の14.8%から16.3%に微増。23年1月調査から続いた減少が増加に転じた。従業員規模別では1001人以上の勤め先で減少、中・小規模企業の実施率は増加した。年代別では20代、30代が増加した。テレワーカーの週当たり出勤日数は「3日以上」が57.0%と前回1月調査の50.3%から増加。自宅での勤務で効率が上がったかについては「効率が上がった」「やや上がった」の合計は、前回1月調査の70.2%から78.9%へと増加し過去最高となった。
希望する働き方について「メンバーシップ型」(同じ勤め先で長く働き、異動や転勤の命令があった場合は受け入れる)と「ジョブ型」(仕事内容や勤務条件を優先し、同じ勤め先にはこだわらない)の二つで尋ねると、ジョブ型が23年7月調査の67.4%から64.8%に微減。一方、メンバーシップ型が32.6%から35.2%へと微増した。自身のキャリアプランの有無については何らかのプランを思い描いている雇用者は3割未満。また自己啓発の実施状況を見ると、自己啓発を「行っている」は前回1月調査の13.5%から13.4%に、「行っていないが始めたいと思っている」は24.5%から21.9%に微減。一方、「特に取り組む意向はない」は64.7%で過去最大となり、雇用者の自発的学習意欲の低下傾向が続いている。
兼業・副業を「現在行っている」「将来的には行ってみたい」割合は減少し、「行う気はない」が微増した。雇用不安と関連性があり、雇用不安を感じると回答した雇用者では兼業・副業を「現在行っている」「将来的には行ってみたい」の合計が47.3%である一方、雇用不安を感じない雇用者では26.8%となっている。
なお、「わが国の景況感」に関する質問では、今後の景気見通しについて「悪くなる」「やや悪くなる」の合計が46.7%となり、前回1月調査(40.4%)から増加した。自身の新型コロナ感染への不安については「かなり不安を感じている(8.8%)」「やや不安を感じている(34.9%)」が共に1月調査より減少し、調査以来最小を更新した。また、不要不急の外出を「あまり避けるようにはしていない」「まったく避けていない」の合計は63.1%と調査開始以来初めて6割を超え、新型コロナの5類変更以降で雇用者の意識が大きく変化したと分析されている。
日本生産性本部では、今回、22年10月調査以降減少が続いたテレワーク実施率の低下傾向が止まったことについて、テレワーク実施率が底を打った表れか、あるいは次回以降また低下に転じるかは注目に値するとしている。
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