福井県商工会議所連合会と県事業承継・引継ぎ支援センターはこのほど、「未来に残したい福井の老舗・名店プロジェクト『福井うめぇ店(てん・名店)』」を開始した。県内で豊かな食文化と歴史を築き、県民に愛されてきた老舗・名店が後継者不足などの理由から閉店する現状を解決するため、同センターと協力して経営課題の掘り起こしと支援を行い、地域活性化につなげる。
同プロジェクトは昨年、福井市内のソースかつ丼の名店が閉店した後、第三者承継により今年7月に復活したことがきっかけとなり、県民に愛される店の閉店を未然に防ごうと立ち上げられた。
老舗・名店の抱える問題は、後継者不在、店舗の老朽化、資金繰り、来店客や従業員の減少であり、これらを誰にも相談できずに人知れず廃業するケースが多くなっている。この課題を解決し、貴重な地域資源である地域の名店を残すため、同プロジェクトでは初めにSNSを活用した県内の老舗・名店についての住民アンケートを実施。アンケート結果と経営指導員の目利きによる店舗の推薦を組み合わせ、重点支援すべき老舗・名店を選定する。
今後、経営指導員や同センターのコーディネーターが選定された店舗を訪問。経営課題を掘り起こし、経営課題に応じた支援を行う。経営課題が事業承継、引き継ぎ案件の場合は、同センターによる後継者探し、創業者・M&A希望者とのマッチング会、後継者育成塾などを実施する。また、資金繰り、店舗改装などの課題には、商工会議所による伴走支援を継続して行う。
同県連担当者は「多くの老舗や名店が、自らが地元に愛され必要とされていることに気づいていない。そのため、アンケートで県民から寄せられた温かい声は、各店の事業継続への大きな励みになる。老舗や名店を発掘し、その店の経営課題への支援を行うことに加え、自らの価値を再認識していただき事業継続への決意を固めていただきたい」と期待を述べた。
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