日本商工会議所は2日、「2019年度全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の受賞事業11件を発表した。大賞は、ひたちなか商工会議所(茨城県)の「ほしいも魅力発信プロジェクト」が受賞した。特産物である干し芋を地域資源としてブランド化し、集客の拡大と観光消費に貢献した点が評価された。
好事例11件選定
ひたちなか産の干し芋は、国内生産量シェア約9割を誇る地域資源となっている。しかしながら近年、原材料である芋の品種改良や機械化など農業技術の進歩により、全国的に干し芋の生産が拡大する中、シェアの減少に危機感を抱いていた。
こうした中、ひたちなか商工会議所は、農家ごとに異なる門外不出の製法や地域の風土を生かして製造された他地域にはない干し芋の歴史をストーリー化するなど、ブランディングに取り組んだ。地域の文化的資料として発刊した書籍「ほしいも学校」は、後世に歴史を引き継ぐための重要なツールとなっている。
また、干し芋生産のシェア維持のみならず、販路拡大に向けた取り組みとして同所と菓子組合との連携により企画開発した「干しいもパイ〝ほっしぃ~も〟」は、高速道路のサービスエリアで人気ナンバーワンの大ヒット商品となり、年間160万個を売り上げ、干し芋の消費拡大とブランド向上に貢献している。
一方、ひたちなか市には、丘一面に広がる青いネモフィラで有名な国営ひたち海浜公園があり、常陸那珂港へ大型クルーズ船が寄港するなど、国内のみならず海外からの旅行者も増加している。このため同所では、干し芋の海外展開とインバウンド誘客に向けて、台湾への観光プロモーションの実施や、同所の米国・ロサンゼルス事務所を拠点としたPR活動、海外展示会への出展などを積極的に行い、好評を博している。
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