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企業を襲うサイバー脅威 ネットに流れる偽情報、 「フェイクニュース」のリスク

その記事、フェイクかも

偽情報は「デマ」などと呼ばれ、以前からさまざまな事実とは異なる情報により多くの人々がだまされてきました。近年はインターネットで個人が情報を発信できるようになり、インターネット上にそうした偽情報が流され、しかも拡散する時間が早くなっています。最近では、偽情報でつくられたニュースである「フェイクニュース」が大きな問題になっています。

フェイクニュースは、主にネット上で発信・拡散される偽情報の記事を指しますが、個人発信のソーシャルメディアでの投稿記事なども含まれます。2016年の英国におけるEU離脱の是非を問う国民投票や米国・大統領選の投票の際は、世論操作の目的などでソーシャルメディアを使った多くのフェイクニュースが投稿、拡散され、インターネット上にあふれました。そして、興味本位で「フェイクニュース」を流す人もいます。18年4月には、マレーシアでフェイクニュースを流した人が実刑判決を受けています。日本国内でも17年4月、熊本地震の発生直後に動物園のライオンが脱走したというフェイクニュースが別の画像と共に拡散し、投稿した男性が偽計業務妨害罪で逮捕されています。

その他、意図的でなくても、メディアの報道で、不正確な記事や分かりにくい記事により、結果的に読者がミスリーディングされて誤解が起こり、業務上の判断や行動を誤るという問題もあります。これらもフェイクニュースの一種とされることがあるのです。

では、利用者側でできる対策には、どのようなものがあるでしょうか。フェイクニュース自体は、正規のニュースサイトやソーシャルメディアで投稿や拡散されるため、フェイクニュースのコンテンツだけを単純にフィルタリングするような技術的対策はできません。そのため、利用者側でフェイクニュースという脅威を知り、自身自身で注意する必要があります。

見分けるのは簡単ではありませんが、興味を引くための必要以上に誇張された記事見出し、正規ニュースメディアを詐称する不審なURLリンク、加工された写真や画像の使用など、記事に不自然と思われる点があったら「フェイクニュースではないか」と疑ってみましょう。記事の内容をよく読み、1つの記事だけで判断せず、同じ内容を扱った別の記事でチェックしたり、記事で示されている外部リンクや情報源(ソース)を確認したりしましょう。面倒でもできる限り、自分自身がだまされたり、周囲の人に拡散したりしないよう習慣付けましょう。

長谷川長一(はせがわ・ちょういち) ソフトバンク、日本ユニシスを経て、株式会社ラックに入社。情報セキュリティ業界の先駆者として知られる同社で現在は、主にセキュリティ人材育成業務を担当している。『IT現場のセキュリティ対策完全ガイド』(日経BP社)『情報セキュリティプロフェッショナル教科書』(アスキーメディアワークス、共著)など著書多数

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