公正取引委員会・厚生労働省はこのほど、「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)」の結果を公表した。
調査は、11月1日から施行される「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下、「本法」という)に係る各業界の理解度合いや現状の取引実態などを把握することで、本法施行後の取引適正化や就業環境整備に生かすために実施されたもの。調査によると、本法の「内容を知らない」という回答の割合は、委託者で54・5%、フリーランスで76・3%と、双方で半数を超えた。業種別で見ると、委託者では建設業(80・2%)、医療・福祉(77・4%)、農業・林業(69・7%)が他業種と比べて認知度が低い状況が見受けられた。フリーランスでは、医療・福祉(96・6%)、建設業(90・9%)、学術研究、専門・技術サービス業(80・6%)の順で本法の認知度が低かった。
取引条件の明示(本法第3条関係)については、委託者で17・4%、フリーランスで44・6%が取引条件を「明示しなかったことがある」と回答した。委託者からは、「契約書を交わしていない事例が散見される」(生活関連サービス業、娯楽業)、フリーランスからは、「事前に契約書を作成するのはまれで、多くは口約束」(情報通信業)などといった声が上がるなど、本法施行後に問題となり得る取引状況も見受けられた。
報酬の支払い期日(第4条関連)については、委託者で4・8%、フリーランスで28・1%が報酬を「60日以内に支払わない(または支払われなかっ た)ことがある」と回答。フリーランスからは、「出版物刊行後に支払う慣習がいまだに横行しており、ルールが浸透していない」(学術研究、専門・技術サービス業)、「仕事をしても勉強だからとギャラ不払いが過去に何度もあった」(生活関連サービス業・娯楽業)といった声が上がっており、本法施行後に問題となり得る行為も見受けられた。
同調査は、フリーランスとの関連があると思われる業界の事業者団体として、関係府省庁から登録された事業者団体の会員事業者などを対象に、5月27日~6月19日の期間で実施。回答事業者数は5300件だった。
詳細は、https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/oct/241018_freelance.htmlを参照。
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