日本商工会議所は11月12日、「新たな経済対策に関する要望」を取りまとめ、公表した。要望は、政府が策定する新たな総合経済対策に商工会議所の意見を盛り込むために作成したもの。①地震と豪雨災害に見舞われた能登半島地域の早期復旧・息長い復興支援②持続的な成長を実現するための中小企業の稼ぐ力の強化③地方創生の実現に向けた地域の経済循環の強化④国民・企業を支える社会基盤の整備――の四つを柱に、デフレから完全脱却し、持続的な「成長型経済」の実現に向け必要な対策を盛り込んでいる。今後、政府・与党に提出し、要望事項の実現を働きかける。
要望では、わが国経済が、企業の旺盛な設備投資などにより、停滞から成長への転換点を迎えているこの好機に、デフレマインドを完全に払拭し、自己変革によるイノベーションへの果敢な挑戦をすることで、持続的な「成長型経済」を実現することが急務であると指摘。実現に当たっては、経済の基礎体力である「潜在成長率の底上げ」が不可欠であると強調し、官民を挙げた設備投資の増加、労働力の確保、技術革新や省力化投資による生産性向上に取り組むことが重要との認識の下、防衛的賃上げから戦略的な賃上げへの転換など厳しい努力を迫られている中小企業の取り組みを後押しするため、規模と内容を充実させた経済対策の実施を求めている。
また、急激な人口減少に直面する地域経済の再生・活性化には、「地域の経済循環」を強く、太くするための取り組みが極めて重要と指摘。好循環の実現に向け、産業振興環境整備や官民協働事業などに対する地方創生交付金の積極投入、民間活動への活用促進を求めている。
具体的には、①では、来年度以降の能登半島地域の復興支援継続を前提とした柔軟な金融支援や、雇用調整助成金特例の延長を含む柔軟な運用など被災事業者の事業再建・雇用維持に向けた取り組みや、インフラ・ライフラインの早期復旧などを要望。②では、労務費転嫁指針の活用をはじめサプライチェーン全体での価格転嫁を商習慣化するための取り組み推進や、デジタル化による省力化・生産性向上、人手不足感の強い業種での自動化技術の利用拡大への支援、知財の創造・活用促進に向けた中小企業支援予算の拡充などを求めている。
③については、DMO・商工会議所などによる地域一体となった観光戦略策定・実行支援による観光地域づくりの推進体制強化や、国内投資拡大に向けた産業立地環境の迅速な整備などを要望。④では、「こども未来戦略・加速化プラン」の着実な実施をはじめ、将来不安を払拭する少子化対策の推進と持続的な社会保障制度の確立や、安全性が確保された原子力発電所の早期再稼働、エネルギーの安定供給・価格抑制を推進するエネルギー安全保障政策の推進、物価高への対応などを求めた。
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