日本商工会議所は11月29日、健康保険組合連合会、全国健康保険協会、日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会と共同で、「医師偏在是正に向けた被用者保険関係5団体の意見」を取りまとめ、公表した。意見書は、政府において医師偏在是正の総合的な対策パッケージを年内に取りまとめる動きが進められていることに対応し、社会保障審議会・医療保険部会の参画メンバーである5団体の主張を共同意見の形に整理したもの。
わが国では、現役世代の保険料負担が限界に達する中、2040年に向けて生産年齢人口の急激な減少とさらなる高齢化が同時に進行する。こうした現状を踏まえ意見書では、「将来にわたって国民皆保険制度を堅持し、必要な時に必要な医療が受けられるフリーアクセスを患者に保障するためには、地域間、診療時間、病診間などにおける医師の偏在を是正し、過不足ない医療提供体制が求められる」と強調。医師偏在是正対策は、医療提供体制の極めて重要な課題であるとの認識の下、保険財政と医療資源に限りがあることを十分に踏まえた総合的な対策パッケージの策定を強く要望してい る。
具体的には、「規制的手法」として、医師多数区域などに対して強力な新規参入抑制と新陳代謝の活性化を図るべきとし、特に、保険診療について抜本的に規制を強化するよう求めている。また、医師少数区域において継続的に一定の医師数を確保するため、可能な限り幅広い医療機関の管理者要件に医師少数区域での勤務経験を規定する必要性を指摘している。
経済的手法としては、医師少数区域や診療科における医師確保などに向け、国と都道府県が拠出する基金などのさらなる活用による経済インセンティブの検討を求めている。
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