日本・東京商工会議所、日本経済団体連合会、経済同友会の経済3団体は1月7日、都内のホテルで新年祝賀パーティーと共同記者会見を開催した。パーティーには、石破茂首相や全国の経営者ら約1500人が出席。パーティー後の共同記者会見で日商の小林健会頭は、今年の日本経済のキーワードとして「地方と中小企業」を挙げ、「物価と賃金の好循環の実現に向けた取り組みを継続し、恒久化していく年にしなければならない」と強調した。また、「賃上げもさることながら、インフレの質を変えなくてはならない」と述べ、消費者のデフレマインド払拭の重要性を指摘した。
パーティーであいさつした石破首相は、今年4月に開催される大阪・関西万博に触れるとともに、故堺屋太一氏の著書で「第一の日本は国家が主導する『強い日本』、第二の日本は経済界が主導する『豊かな日本』、第三の日本は『楽しい日本』」と書かれていることを紹介。「楽しい日本」について、「国家が主導するものではなく、一人一人がどうやって楽しさを実感するかだ」と述べ、「豊かで、楽しくて、安全な日本を目指していきたい」と意欲を示した。
パーティー後に開いた3団体長による共同記者会見で日商の小林会頭は、今年の日本経済について、「物価と賃金の好循環の実現に向けた取り組みを継続し、恒久化していく年にしなければならない」との認識を示すとともに、「過去2年はコストプッシュのインフレだったが、今後はディマンドプルに変えていく、需要を喚起していく必要がある」と述べ、消費者のデフレマインドの払拭が重要との考えを示した。また、5人に1人が後期高齢者になる超高齢社会に入ることから、「高齢者も働ける人は働いてもらい、全般で言えば、社会保障も応能負担も強化していく契機の年にすべきだと思う」と述べた。
賃上げについては、「小規模事業者の底上げが鍵」と述べ、価格転嫁の商習慣化、労務費転嫁促進の必要性を強調するとともに、「小規模企業は、経営者の人生そのものだ。その会社が消えると、路頭に迷う。地方のインフラを背負っている小規模企業が欠けていくということは、地方のインフラが毀損(きそん)するということになる。何としても伴走支援をしていかなくてはならない」と決意を表明した。
また、中小企業の労働分配率が約7割と緩やかな低下傾向にあることに触れ、「防衛的な賃上げも人手不足があり、ある程度やむない部分があるが、労働分配率をもう少し戻し、それを賃上げに振り向けていってもらいたい」と呼び掛けた。