われわれは、ここ長崎において、「ふるさとの光を観(み)つけに!長崎遊学」をテーマに掲げ、全国商工会議所観光振興大会2025㏌長崎を開催した。
地方における人口減少は深刻である。その中にあって、交流人口がもたらす経済波及効果や若者定着推進の観点から、観光が果たす役割はこれまで以上に重要となっている。
ここ長崎は観光資源の豊富な土地であるが、観光客が持つ長崎のイメージが固定化しているほか、個人旅行やインバウンドへの対応における課題も多 く、観光需要の取り込みが必ずしも十分とはいえない。観光を通じた異文化の相互理解の促進という観点からも、インバウンド誘客は平和都市長崎における大きなテーマであり、各地にも共通するテーマとなっている。
全国各地には、旅行者を魅了する素晴らしい歴史・文化、自然、食などがある。大阪・関西万博も控える中、今こそ、そうした〝ふるさと〟の地域資源の魅力を高めるとともに観光を支える人材を育成することで、「観光業」を「観光産業」へ昇華させ、地域経済の活性化につなげなければならない。
こうした状況を踏まえ、商工会議所が、各地における観光振興の旗振り役を担い、「住んで良し、訪れて良し、働いて良し」の持続可能な観光地域づくりを進めていくために、長崎大会において以下のアピールを行う。
1.ふるさとの再発見と地域ブランディングの推進
観光の語源には、国・地域の「光」を「観」、学び、それを誇りを持って示すことで、多くの人を迎え交流を図ることが重要であるとの意味が含まれている。どの地域にも、きらりと輝く「ふるさとの光」、そして誇り・愛着を抱くことで地域に生まれる「ふるさとの力」は存在する。その光」や「力」を再発見し魅力を高めることにより、地域に人と投資を呼び込むことが可能となる。そのため、各地域の特徴を生かした戦略的な地域ブラン ディングを推進することが重要である。
2.新たなニーズの取り込みによる旅の満足度の向上
歴史・文化、自然、食などは、国内外からの旅行者を誘い寄せる強力な観光資源であり、これを生かすための具体的なコンテンツの作成が必要である。また、スポーツ、映画、アニメなどが、世の中の新たなニーズとなっており、新しい体験型コンテンツが生み出されているが、それらをマーケットインの発想で捉え、旅の満足度を向上させることが重要である。併せて、交通利便性の向上を図り、多言語化など受け入れ環境を整備していくこ とが必要である。
3. 観光を起点とした地域経済の好循環の実現
その地域ならではの特別感のあるコンテンツを創造し、観光の高付加価値化を図ることは、旅行消費の拡大につながり、新たな投資や就業者の労働環境改善をもたらす。これが観光業を「稼ぐ産業」、「あこがれの職業」へ発展させ、優秀な人材の確保を可能とする。そうして生まれた良質なサービスが、旅行客の増加につながり、観光を軸とした地域経済の好循環を実現する。
4.地域への愛着や誇りの醸成による持続可能な観光の実現
伝統文化の継承やコミュニティの維持を図るためには、若者の地域への定着が不可欠である。地域への愛着や誇りを育む「ひとづくり」を推進し、各地が直面しているまつり・イベントの担い手不足を解消することを通じて、持続可能な観光を実現する。