日本商工会議所は1月16日、日本経済団体連合会、経済同友会と連名で取りまとめた要請書「社会全体における『価格転嫁の商習慣』の定着に向けて~構造的な賃上げによる成長型経済の実現へ~」を公表した。要請書では、それぞれの会員企業、特にサプライチェーン上位に位置する大企業、中堅企業などに対して、「パートナーシップ構築宣言」の趣旨徹底と実行を要請するとともに、未宣言企業に対する宣言への参画も呼び掛けている。
3団体連名の要請書は、①経営者自らが先頭に立った、取引適正化への取り組み強化②労務費、エネルギーコスト、原材料費の価格転嫁の推進③「価格転 嫁の商習慣」の定着による社会全体の付加価値の向上――の3項目で構成。①では、経営者自らが先頭に立ったパートナーシップ構築宣言の実行とフォローのための社内体制の明確化などを提示するとともに、「労務費の適切な価格交渉に関する指針」に沿った行為の徹底などを要請した。
②では、発注者が受注者の要請に真摯(しんし)に向き合うとともに、受注者が臆することなく価格交渉を申し入れるなど、価格転嫁を新たな商習慣としていくことを訴えた。
③では、サプライチェーン全体での付加価値向上、デジタル化・省力化など、中小企業単体では対応が困難な課題解決への積極的な挑戦を求めているほか、業界内の優良な取引慣行について体系的な改善サイクルの確立を提示。政府には、メディアなどを活用した「良いモノやサービスには値が付く」ことへの理解深化に向けた啓発を要請した。