日本政策金融公庫(日本公庫)は1月20日、「2024年度起業と起業意識に関する調査」のアンケート結果の概要を公表した。同調査を見ると、起業家の現在の従業者数は1人(本人のみ)が7割以上。約6割が月商「50万円未満」で、おおむね「黒字基調」となっている。一方、起業に関心を持つ層は、その理由に「収入増」を挙げる割合が高いが「自己資金不足」「失敗リスクへの恐れ」が起業のハードルになっている。
調査は全国の18歳から69歳までの3万4946人を対象に、インターネットによるアンケートを行ったもので、事前調査と詳細調査の2段階で実施。調査結果では回答者を「起業家(経営する事業に1週間当たり35時間以上従事)」「パートタイム起業家(同35時間未満)」「起業関心層」「起業無関心層」の四つに分類してまとめている。
調査結果を見ると、起業家は「男性」が69.1%、パートタイム起業家も60.7%を占めた。起業時の年齢ではいずれも「29歳以下」の割合が最も高い(それぞれ37.2%、36.3%)。現在の職業が「勤務者(正社員)」の割合は、起業家が8.6%、パートタイム起業家39.1%、起業関心層52.8%、起業無関心層35.9%だった。
起業した業種は起業家、パートタイム起業家共に「個人向けサービス業」(それぞれ28.4%、22.7%)が多く、開業時の組織形態は「個人企業」(それぞれ90.2%、97.4%)、現在の従業者数は「1人(本人のみ)」が共に7割以上となっている。
起業費用は、起業家では「50万円未満」(36.5%)が最も多く、次いで「費用はかからなかった」(28.9%)、パートタイム起業家では「費用はかからなかった」(51.4%)が最も多く、「50万円未満」(35.6%)と続く。起業費用に占める自己資金の割合が「100%」である人は起業家64.5%、パートタイム起業家72.2%だった。
現在の月商が「50万円未満」の割合は起業家で64.5%、パートタイム起業家で90.2%。採算状況が「黒字基調」である割合は共に7割を超えている。
事業を始めて良かったことは、起業家、パートタイム起業家共に「自由に仕事ができた」(それぞれ56.5%、39.6%)が最も多い。一方、事業を行う上で問題だと感じていることは「売り上げを安定的に確保しづらい」「業務に対する対価(代金や報酬)が低い」が上位に挙がっている。
起業関心層については「10年以内に起業する」(15.9%)と「いずれは起業したいが、時期は未定」(34.0%)を合わせた「起業したい」が49.9%だった。起業に関心を持った理由は「収入を増やしたい」が59.0%と最も多い。まだ起業していない理由については「自己資金が不足」(44.3%)、「失敗したときのリスクが大きい」(28.0%)が上位となっている。
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