日本商工会議所第140回通常会員総会に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。
小林会頭をはじめ、日本商工会議所の皆さま方には、日頃より、政府の取り組みに対しまして、ご理解とご協力をいただいておりますことに、改めて厚くお礼申し上げます。
日本経済は、長く続くデフレ経済の下、国内投資と賃金が伸び悩んできました。こうした「コストカット型経済」から「高付加価値創出型経済」に移行し、賃上げと投資の好循環を定着させることが重要です。
先週の春季労使交渉の回答では、賃上げの力強い勢いの定着に向けて、大企業を中心に、昨年に引き続き、大幅な賃上げを行っていただいていると承知しています。また、中小企業においても、厳しい経済情勢の中にも関わらず、連合の第1回回答集計(3月14日)において、全体では、前年を上回る5・46%(昨年比プラス0・18%)の賃上げ、中小組合については、33年ぶりとなる5%以上の賃上げ(5・09%、昨年比プラス0・67%)となりました。
昨年11月に、政労使の意見交換で、私から、大幅な賃上げへのご協力をお願いして以来、年末の経済対策や補正予算の成立、今年1月の国内投資拡大のための官民連携フォーラムなどを通じて、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」の実現に向けた機運が高まり、官民の連携が一層進んできたことが、実を結んできていると考えています。改めて、ご協力に感謝申し上げます。
この勢いを、幅広い中小企業、小規模企業での賃上げへとつなげていただきたいと考えております。政府としては、そのために、中小企業や小規模企業の皆さまに賃上げの原資を稼いでいただけるよう、政策を総動員してまいります。
例えば、自治体の公共調達において、労務費などの転嫁が適切に行われるよう、全ての自治体に対し、重点支援地方交付金6千億円を活用することなどを強く働き掛けてまいります。
協議に応じない一方的な価格決定の禁止などを盛り込んだ「下請代金法」と「下請振興法」の改正法案を国会に提出したところであり、法案の早期成立を目指します。
中小・小規模企業の生産性向上のため、省力化投資・デジタル投資などをさらに促進し、また、人材・経営基盤を強化する事業承継やM&Aなどを後押しいたします。
このように、物価上昇に負けない賃上げを起点として、所得と経済全体の生産性向上を図っていけるよう、政府として最大限の努力を進めてまいります。
さて、私どもの内閣では、人口減少問題に対応し、日本全体の活力を向上していく観点から、「地方創生2・0」を、「令和の日本列島改造」として強力に進めていきたいと考えております。
これまで十分に生かされてこなかったそれぞれの地域の「資源」を有効に活用し、高付加価値型の産業・事業を創出していく、そうした中小・小規模企業の取り組みを、新たな交付金や規制・制度改革で、強力に支援してまいります。
新たな技術革新の中で今後成長していくAI・半導体や、GXといった戦略分野での大規模投資を加速し、国全体に波及効果を及ぼしていく取り組みも、進めてまいります。
地方創生を進めていくに当たっては、地域に根差した活動を続けておられる、各地域の商工会議所、そして日本商工会議所の皆さまのお力が不可欠です。地域の、そして日本全体の中小・小規模企業の皆さまのさらなる発展に向けて、今後一層、連携・協力を深めていきたいと考えております。
最後に、大阪・関西万博の開幕まで、残り25日となりました。これまでの皆さまのご協力に、改めてお礼を申し上げるとともに、開幕に向けて、さらに力を合わせていきたいと考えております。
開催国である日本そして各地域が、世界との交流を深め、自らの魅力を世界に向けて発信する絶好の機会となるよう、万博条約における招請国政府として、最大限の力を尽くします。
本日、全国からお集まりいただいた商工会議所の皆さまにおかれましても、新たなビジネスマッチングの機会にもなりましょう。皆さまお誘い合わせの上、早期のご来場を、と存じます。
結びになりますが、日本商工会議所ならびに各地の商工会議所のさらなるご発展と、本日お集まりの皆さまのますますのご健勝を祈念いたしまして、私のあいさつとさせていただきます。
本日は誠におめでとうございます。