日本商工会議所の小林健会頭は4月17日、大阪市で開催した移動常議員会・議員総会後の記者会見で、米国トランプ政権による関税政策(トランプ関税)について、「関税を武器として出してきたことは非常に遺憾」と述べるとともに、「下請けにコストダウンを強いるような流れに戻ってしまいかねない」と国内の賃上げ機運への影響に強い危機感を示した。大阪・関西万博については、コロナ禍など特殊な準備環境の中で開幕を迎えたことに達成感を表明。記者会見に同席した鳥井信吾副会頭(大阪・会頭)は、「各国の文化的、文明的シャワーを浴びることは来場者にとって刺激となり、中小企業にとっても次への大きなステップアップにつながる」と万博の開催効果に期待を述べた。
小林会頭はトランプ関税について、企業の先行きへの不安がもたらす賃上げ機運への影響に懸念を表明。「特に日本の企業は、最悪のケースを想定するため、場合によっては、過去30年間行ってきた、下請けにコストダウンを強いるような流れに戻ってしまいかねない。それだけは駄目だと声を大にして言いたい」と強い危機感を示した。また、「米国経済を非常に心配している。米国では製造業の熟練中間労働者が非常に不足している。今から急に米国内で自動車産業などを増やそうとしても、難しいのではないか」と政策への疑念を述べた。
13日に開幕した大阪・関西万博については、「やっとここまできたという気持ち。コロナ禍や万博会場の立地など特殊な環境で準備せざるを得なかったが、99%完成し開幕を迎えることができたことは達成感もひとしおだ。中小企業にとって刺激という意義が最も大きい」と述べるとともに、今後の運営については、「オペレーション面について試行錯誤し不都合を改善していく段階だと思う。不足している部分を殊更に拡大し海外の方々に見せるのではなく、われわれが協力して改善に努め、円滑な運行を実現するべきだ」との考えを示した。
また、記者会見に同席した鳥井副会頭は、大阪商工会議所と公益財団法人大阪産業局が企画・運営する大阪ヘルスケアパビリオンの「リボーンチャレンジ」について触れ、「この機会をすぐにビジネスにつなげることも目指しているが、イノベーションは直接的な利益追求ではなく、夢のある取り組みから生まれ、結果的にビジネスにつながるものだと思う。その契機になるプログラムを万博で実施することが大きなポイントだ」と述べるとともに、「世界約160の国・地域の文化的、文明的シャワーを浴びることは来場者にとって刺激となり、中小企業にとっても次への大きなステップアッ プにつながると思う。そういった意味では、この大阪・関西万博の開催は精神的な意義が大きい」と万博への期待を述べた。