Ⅰ.基本認識
1.人手不足解消のために地域・中小企業の生産性向上が課題
・地域・中小企業の人手不足解消、生産性向上は喫緊の課題。IT・IoTなどの活用は有効な手段。しかし、初期コストが高い、効果が分からない、IT人材がいないなどの理由で進んでいない ・クラウドサービスは、初期コスト負担が小さく、転記入力の負担を軽減、セキュリティーも確保できる。中小企業の活用メリットは大きいが、相談しやすいITベンダーや使いやすいITサービスを探すのに苦慮 ・ものづくりでは、自社の規模に見合った、安価で使いやすい「身の丈IoT」を開発し、機械の稼働率を上げて生産性向上を実現し、そのツールを外販する企業も。しかし全国的には中小企業内の専門人材は不足、外部支援人材も少ない
2.商工会議所は多様な情報提供・支援を展開
・日商では、NTTなどと連携した生産性向上セミナーを向こう3年間展開 ・中小企業の経営課題に即したクラウドサービス活用例(レシピ)を公表する一方、小規模事業者を中心にクラウド会計やモバイルPOSレジなどの活用によるバックオフィス業務の効率化を支援 ・ものづくりではIT導入の前段となる「業務プロセス改善」を図る地域ごとの取り組み(足利版5S、前橋ものづくり指南塾など) ・海外視察団の派遣による海外事情・先進事例の視察(ドイツ:IoT体験スペースやイノベーション支援、中国深圳:ものづくりベンチャー育成のためのエコシステム、米国シリコンバレー:グーグルなど先進企業の未来戦略など)
3.政府による力強いIT・IoT政策の推進に期待
・政府が「未来投資戦略2018」で「3年間で中小企業約100万社のIT導入促進を目指す」としたことを評価。IT導入補助金の利用促進、IT活用と併せた業務プロセス改善、生産性向上の推進に期待。商工会議所も協力する ・地域・中小企業のIT活用は、いまだ「発火点」に達したと言える段階にない。施策が地域・中小企業に浸透するよう、政府には粘り強い継続的な支援が求められる
Ⅱ.意見
1.中小企業100万社IT支援の継続展開
(1)業務プロセス見直しを継続支援する専門家派遣制度の創設 (2)中小企業経営者に気づきを促す「IT導入補助金」の継続と利便性向上
2.ものづくり中小企業のIoT・ロボット・AIなどの導入支援
(1)「身の丈IoT」活用事例の提供機能の強化 (2)IoTやロボットの最新機器を備えた体験スペースなどの設置 (3)IoT専門家を養成して中小企業に派遣するスマートものづくり応援隊の強化 (4)製造分野でのAI・ロボットの活用支援
3.サービス分野のIT・IoT・AI活用の推進
(1)運輸・建設・小売・農業・観光などのIT・IoT・AIなどの活用事例の普及 (2)インバウンド需要に対応した地域観光産業などのキャッシュレス決済の導入支援 (3)買い物弱者など地域課題を解決するシェアリングサービスの推進
4.中小企業人材のIT活用能力の向上、IT支援人材の育成
(1)ユーザー中小企業の経営者・従業員のIT資格取得の奨励と支援の充実 (2)経営指導員のIT資格取得に対する補助制度の創設 (3)ITベンダー・大企業OBなどの専門人材の中小企業への供給促進
5.中小企業の取引(サプライチェーン)のデジタル化(EDIなどの普及)推進
(1)金融EDIとの連携を契機とした中小企業共通EDIの普及への支援 (2)大企業などの取り組み奨励(ゲートウェイ接続、API連携) (3)政府・地方自治体による公共調達の電子化の推進
6.中小企業の情報セキュリティー対策の促進
(1)中小企業のセキュリティー意識の向上(ワンストップ相談対応・復旧支援体制の構築、セキュリティー対対策の自己宣言制度「SECURITY ACTION」の周知) (2)安価で強固なセキュリティーサービスの開発・提供 (7月19日)
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