政府は4月23日、第33回新しい資本主義実現会議(議長・石破茂首相)を開催し、人への投資・多様な人材の活躍、スタートアップ、科学技術・イノベーションなどについて議論を行った。会議に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、労働市場改革・地方の人手不足対策について、「賃金水準の向上と深刻な人手不足が喫緊の課題」と述べ、「積極的な投資を通じた高い賃金水準で働ける場の創出が重要」との認識を示した。また、「地域の産学官金が連携し、人手不足解消に取り組む『地域プラットフォーム』の推進が必要」と述べ、地域中小企業の人事コンサルなどを請け負うNPO設置など、民間主導の取り組みへの支援を求めた。
最低賃金については、日商調査において、中小企業の7割超が政府目標の1500円について「対応は不可能もしくは困難」と回答したことに触れ、「実態を十分に踏まえない引き上げは地域経済に深刻な影響を与えかねない」と指摘。政府には、労使双方の意見を十分に踏まえ、法定3要素のデータに基づく納得感のある審議決定を強く求めた。また、政府が最低賃金設定の参考として、EUが加盟国に示している「賃金中央値の60%」や「賃金平均値の50%」との参照指標を取り上げたことに対しては、「国際指標との比較においては、制度の違いもあるため、単純な比較はすべきでない」と 主張した。