子どもたちの学び場をつくり 人材育成と地域活性化の実現を目指す
グローカルデザインスクール株式会社 代表取締役 大竹 千広(おおたけ・ちひろ)
農業や食を通して“生きる力”を届けたい
当社は2016年に創業し、静岡県菊川市で地方創生の次世代育成事業「菊川ジュニアビレッジ」を運営する中で、18年に法人化しました。現在は、神奈川県横浜市、大阪府和泉市などでも「ジュニアビレッジ」を運営し、農業を通した教育を行っています。
私自身の子育てを通じて、子どもの教育課題への関心が強くなったことにより、10年から当時の職場であるJTBで、地域での体験教育をテーマにした社内新規事業を推進してきました。知識偏重ではない、試行錯誤しながら人と人との関わりの中で育つ“生きる力”を子どもたちに届けたい。そんな思いが強くなり、16年に、農業シンクタンク「エムスクエア・ラボ」の加藤百合子社長と、農業とリベラルアーツを掛け合わせた教育理念「アグリアーツ®︎」を軸に、「菊川ジュニアビレッジ」の運営を始めました。当時は副業での参加でしたが、「コロナ禍の今こそアグリアーツ®︎を世の中に広めたい」と覚悟を決め、JTBを退職し、21年より当社の代表を務めています。
アグリアーツ®︎を実践するジュニアビレッジでは、小中学生が主体となって、地域のリアルな食の課題解決に挑む“会社”を1年間にわたり経営します。子どもたちが遊休地を活用して農作物をつくり、規格外野菜も使った地域の特産品を開発し、売り上げを立てることで、地域活性にもつなげる取り組みです。アグリアーツ®︎は新たな教育理念であり、知名度も実績もないため、当初は参加者を集めることに苦労しました。子どもたちの活動に伴走支援する大人の人材確保、開発した商品の販路開拓も困難でした。しかし、試行錯誤を重ねながら、少しずつ共感・共創の輪が広がり、ジュニアビレッジが関係人口を創出する仕組みになってきたと思います。