経済産業省は6月6日、「令和6年度大学発ベンチャー実態等調査」の結果(速報)を公表した。同調査結果よると、2024年10月時点での大学発ベンチャー数は5074社。23年度の4288社から786社増加し、企業数・増加数共に過去最高を更新した。定義別では「研究成果ベンチャー」、業種別では「その他サービス」を除き「IT(アプリケーション、ソフトウエア)」が最も多くなっている。
大学発ベンチャーとは、大学での研究成果に基づく特許や新たな技術などの事業化のために新規に設立された企業(研究成果ベンチャー)、創業5年以内に大学との共同研究を行ったり大学から技術移転を受けたりした企業(共同研究ベンチャー、技術移転ベンチャー)、現役の学生や教職員が関わる企業(学生ベンチャー、教職員等ベンチャー)、大学からの出資など大学と深い関連のある企業(関連ベンチャー)と定義し、経済社会にイノベーションをもたらす担い手として期待されている。
同調査では、今後の政策展開に活用するため設立状況などを定点観測し、事業環境やニーズなどを調査・分析している。
今回の調査結果では、24年10月時点での大学発ベンチャー数は5074社となり、23年度の4288社から786社増加して企業数・増加数共に過去最高を更新した。22年度の3782社からは1292社増加しており、新規増加したベンチャーのうち約57%は東京都以外で創業されるなど地方の創業割合が高くなっている。
定義別では「研究成果ベンチャー」(44%)が最も多く、次いで「学生ベンチャー」(28%)となっている。業種別(複数回答)では、「その他サービス」を除き、「IT(アプリケーション、ソフトウエア)」(1592社)が最も多く、次いで「バイオ・ヘルスケア・医療機器」(1434社)となった。
大学別に見ると、ベンチャー数は前年に引き続き東京大学が468社で最も多く、次いで京都大学(422社)、慶應義塾大学(377社)の順となった。また、3位の慶應義塾大学をはじめ、上位10大学のうち4大学を私立大学が占めており、私立大学がベンチャー創出に力を入れていることがうかがえる結果となっている。伸び率では関西大学(47社、前年度比522・2%)が最も高かった。
大学発ベンチャーにおける経営人材(CEO)の最終経歴は、「大学・公的研究機関の教職員・研究者」が多く、在籍者に博士号取得者の割合が高い点が大学発ベンチャーの特徴となっている。 大学発ベンチャー創出・増加のための環境整備を進める上で特に重要な取り組みについては、「政府などのエコシステム整備・支援(助成金・外部資金拡充など)」が42%で最も多く、次いで「産学連携・共同研究などの推進」(39%)となっている。
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