市販薬は、医師の処方箋がなくても、薬局やドラッグストアなどで自ら選んで買える医薬品のことです。対面販売で薬を購入するところから、「Over The Counter (カウンター越し)」の略で「OTC医薬品」とも言います。
市販薬は、薬に含まれる成分の使用方法の難しさや相互作用(飲み合わせ)、副作用などを評価して、「要指導医薬品」と「一般用医薬品」に分類されます。要指導医薬品は、市販薬として市場で販売されて間もないものなどで、購入に当たっては薬剤師の説明が義務付けられています。そのためインターネットでは買えません。一方、一般用医薬品は効果が穏やかで比較的安全性が高いものを指します。ただ、副作用や相互作用などで注意が必要な度合いの高いものから、さらに第1類~第3類に分類されています。
市販薬のメリットは、医療機関を受診しなくても購入できるので、手間や待ち時間、診察費用などが省けることでしょう。「市販薬は効き目が少ない」といったイメージを持つ方もいるでしょうが、今では医療用医薬品として長く使われ、安全性の高い成分を市販薬に転用した「スイッチOTC」などもあります。すぐに医療機関を受診できないときや、頭痛や肩こり、花粉症や水虫など慢性的な症状を緩和したいときなど、すぐに対応することができます。
また、市販薬を上手に利用しながら病気予防や健康管理を行うことは、セルフメディケーションの促進にもつながります。2017年から、きちんと健康診断を受けている人が特定の医薬品を購入した場合、所得控除が受けられる「セルフメディケーション税制」が始まりました。22年には対象の医薬品品目が増えて、より節税効果が高くなったことも大きなメリットです。
もちろん、商品名だけでは成分が分かりにくい、同じ風邪薬でも製薬会社によって成分が微妙に異なるなど、市販薬もさまざまです。薬局やドラッグストアなどで適切な薬を賢く選ぶためには、薬剤師や登録販売者に自分の症状や現在使用中の他の薬、持病やアレルギーの有無などをきちんと相談し、アドバイスを仰ぐことをおすすめします。