中小企業庁は6月11日、2024年度における下請代金支払遅延等防止法(下請法)の運用状況について公表した。同庁は、親事業者および下請け事業者を対象に定期的なオンライン調査を実施しており、24年度は親事業者5.5万者、当該事業者と取引を行う下請け事業者24万者に対して同調査を実施。その結果、下請法違反の恐れのある親事業者5801者に対し是正などを求める注意喚起文書を発出した。
また、同オンライン調査や下請け事業者からの申告などを踏まえ、親事業者703者への立ち入り検査を行い、1321件の違反行為を確認、584者に改善指導を実施した。
改善指導が行われた違反行為の内容は、禁止行為の違反として支払い遅延が189件、下請け代金の減額が139件、買いたたきが106件となった。この3類型で禁止行為違反全体(497件)の87%を占めている。手続き規定違反としては書面不備・未交付(541件)、書類未保存(152件)が手続き規定違反全体(824件)の84%を占めた。
また、24年度中に改善報告が親事業者594者からなされ、このうち201者が、下請け事業者4951者に対して減額した下請け代金の返還や支払い遅延にかかる遅延利息の支払いなど、総額約1億5700万円の原状回復を行った。
親事業者からの下請法違反行為の自発的な申し出は16件あり、下請け事業者1376者に対し、下請け代金の減額分の返還など総額約5億4400万円の原状回復が行われた。
なお、下請法の名称は5月23日に公布された「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」により26年1月1日から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(中小受託取引適正化法)となり、「下請事業者」は「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」と称されることとなる。
詳細は、https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2025/250611.htmlを参照。