「レジャー白書2025」(日本生産性本部)速報版が7月15日に公表された▼
これによると「国内観光旅行」への参加率は48.3%で、調査対象の108種目中最も高いものの、前年よりわずかに低下。さらには、コロナ禍前の19年の54.3%と比べると6ポイントも低下している▼
参加率とは1年のうちで一度でも参加したことがある人の割合だが、裏返せば「国内観光旅行」に一度も参加しなかった人が過半数を超えているということにもなる▼
5月に発表された「観光白書」では、24年の訪日外国人旅行者数は3687万人で過去最高となった。他方で日本人の国内観光旅行は、24年は5.4億人。コロナ期からはかなり回復したものの、19年の5.9億人の水準にはいまだに戻ってはいない▼
しかし日本人の国内旅行消費額だけは19年の21.9兆円から25年は25.1兆円と大幅に伸びている。この背景には宿泊やレジャー施設などの価格高騰がある。つまり国民から見れば、旅行はそろそろ高嶺の花になりつつあるということでもあろう▼
以前の観光政策審議会は、「観光は国民生活に不可欠なものになっている」とした上で、「国民が健康を維持し、想像力を貯え、家族の絆を強めるなど社会の発展を得ていくためには……観光活動がすべての分野の人々にとって必要である」と答申した(答申第39号)▼
私事ながら、私は家族旅行を義務と考えてきた。子供たちに観光を通じていろんな地域を見せることは親としての義務、という考え方である。子供の頃から多様な旅を経験すると、やがてその子供家族も旅をするようになる▼
「国内観光旅行」の参加率が5割を下回る状況は、この国の国内観光にとって危機的な状況でもある
(観光未来プランナー・丁野朗)