山形商工会議所は6月30日、山形市、山形大学と同大学社会共創デジタル学環(学部に相当)における連携・協力に関する協定を締結した。産学官が相互に連携して人材育成や中小企業のDX化に取り組む。同学環はデジタル技術を活用しながら地域課題の解決に取り組む人材を育成するため、4月に新設された。
今回の協定締結は同学環の教育・研究活動を推進し、地域課題の解決に生かすとともに、将来を担う人材の育成と地域社会の発展に寄与することが目的。研究活動に同所が加わり、学生にチャレンジの場を提供することで、さまざまな課題が抽出されるメリットが期待されている。
協定では①実務家教員と非常勤講師の派遣②地域課題に資する社会共創デジタル学環の教育と研究の推進③地域の活力を育む人材育成④中小企業の支援――の4項目で連携することとしている。具体的な取り組みとして、研究連携では市職員や各企業がメンターとして研究活動をサポートし、行政や企業が設定した課題の解決に向けた実践的な活動を行う。同所はメンターとなる企業を募集し、同大学へ企業を紹介する。
DX推進と次世代人材育成については、大学が企業側にデータ処理や人工知能(AI)の活用に関するカリキュラムを提供。DXの観点から地域社会の現在と未来を分析し、社会課題に取り組む実践的な研究を通して、山形市内で就職、起業を目指す若者をサポートする。
締結式で同所の矢野秀弥会頭は「山形の中小企業は元気がある一方で、デジタル人材など専門的知識を有する人材の確保が困難な状況にある。協定締結を機に、山形の次世代を担う優秀な人材が多数輩出され、地域全体の発展につながることを期待している」と述べた。