社会の中で女性の活躍が期待されている今日。結婚や出産をしても離職せずに働くことが一般的になりつつあります。それに伴い、仕事や家事・育児の両立を実現する制度や職場環境の改善が進んできました。他方で、その活躍を妨げる一因に、月経痛やPMS(月経前症候群)、更年期の諸症状など“女性特有の健康課題”があります。
女性の体調は、女性ホルモンのサイクルや年齢によって変化します。個人差は大きいものの、月経時に強い腹痛や腰痛で寝込んだり、月経前に体のだるさやイライラなどが生じて集中力が低下したり。更年期になれば、ホットフラッシュ(ほてり、発汗)や動悸(どうき)、不安感など心身にさまざまな不調が現れやすくなります。
そうした不調に対して、自身が能動的にセルフケアを行ったり、医療機関を受診するなどの対処をしていない女性が少なくありません。プライバシーの問題もあって周囲に相談できず、我慢してやり過ごしている人をよく見かけます。しかし、適切な対処をせず無理に仕事をして、ミスが増えたり、失敗や事故を起こして周囲に迷惑をかけることも考えられます。また、そうした状況から昇進を諦めたり、退職を選ぶこともあり得ます。それを避けるには、まず自身が自分の体のことをよく理解し、適切なケアや治療を受けることが先決です。
さらに、職場においても経営者や管理職が女性特有の健康課題を理解し、配慮を実践することが求められます。現在、生理休暇制度を導入する企業も増えていますが、生理中だと知られたくないなどの理由で利用しない人もいるでしょう。この場合、男女を問わず健康上の理由で休みやリモートワークなどを取りやすくすると良いと考えます。また、婦人科検診の受診を促したり、必要に応じて、人事や産業医との連携体制を整えておくことも有効です。
経済産業省の試算によれば、女性特有の健康課題による経済損失は社会全体で年間約3・4兆円にも上るとされています。女性の健康リテラシーを高め、職場環境を整備することは、従業員のモチベーション向上や人材の定着など、経営の安定にもつながります。

