日本商工会議所の小林健会頭は9月17日、定例の記者会見で、最低賃金制度について、「あくまでセーフティーネットであり、賃上げの道具ではない」との考えを改めて強調し、「上げ幅と速度によっては廃業や地方の産業・商業インフラの疲弊につながりかねない。具体化してしまってからでは遅い」と強い懸念を表明した。また、「競争原理に委ねるのではなく、各地域の実態に即した冷静な決定手法が必要」と述べ、制度設計の方向性を商工会議所でも検討していく考えを示した。
自民党総裁選挙については、「日本を取り巻く世界情勢は厳しく、政策の停滞を最小限に抑えることが重要」と述べ、中長期的視点での骨太な議論を求めた。重要課題としては、税と一体化した社会保障制度の抜本的な見直しを挙げ、「断固として政策に移していかなければならず、急務である」と指摘。「今の制度のままでは行き詰まる可能性が非常に高いため、今のうちから具体策を、段階を踏みながら示していく必要がある」と強調した。
米国の自動車関税引き下げについては、「一段落したとの評価もあるが、15%でも非常に重い」と強調。大手自動車メーカーの中で、コスト削減を下請けに求める動きが出始めていることなどに触れ、「業界全体として先行きに対する漠然とした不安が残っていると思う」と述べた。また、「最大の問題」として5500億ドル規模の対米投資を挙げ、「日米で意見の相違が出てくる可能性があり、今後も慎重な判断が求められる」と指摘。政府が投資枠や中身の管理に全力を挙げて取り組む必要性を主張した。